過去ログ - フィアンマ「これがあの男が命を懸けて救った世界、か」
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(福岡県)
[saga]
2011/04/07(木) 23:18:28.24 ID:dEtouHOE0
「で? 誰よコイツ」
「正直よく分からない」
彼らは、先ほどとは別の路地裏に来ていた。
さっきのところは表通りに程近い、比較的浅い『裏』だった。
対してこちらは少々奥へと入った、薄暗い『裏』の道。
そこでフィアンマを待ち受けたのは、ここまで案内してきた少年よりいささか年上の男。
青年、と言っても差し支えないかもしれない。
短い赤毛の青年は、見るからに路上生活経験豊富そうな見た目だった。
どこか品のようなものを感じる少年とは、また少し雰囲気が違う。
「名乗ってなかったな。俺様は――」
「ああ、いいから。俺らと一緒に暮らしたいってわけでもねえんだろ?」
軽く自己紹介をしようとしたのだが、鬱陶しげに手を振って制される。
そのまま少年が赤毛の青年にこれまでの経緯の説明を始めた。
適当にその辺に放置されていた建材に腰掛け、話が終わるのを待つ。
青年は頭を押さえて頭痛でもするかのような仕草をしながら少年の話を聞いている。
「……アホ。思いっきり犯罪犯してんじゃねえか」
「で、でも! 手段を選んでいられる場合じゃないだろう!?」
「だからこそ選ばないといけねえんだよ……って、言っても仕方ねえか」
少年の頭に軽くチョップを食らわせたのち、青年はフィアンマに目を向けた。
フィアンマは立ち上がりもせずに視線だけ青年に寄越す。
「馬鹿が迷惑かけたな、お節介さん」
「構わんさ。ちょうど行き先に迷っていたところでな」
「ここでいいのか?」
「ここでも構わん」
ぞんざいなやりとりながらも、何かが伝わったのか青年の表情が少し和らぐ。
彼はふっ、と息を吐いてから、フィアンマに立ち上がるよう促した。
「俺らの事情を説明する。見てもらった方が分かりやすい、こっち来てくれ」
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