過去ログ - フィアンマ「これがあの男が命を懸けて救った世界、か」
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320:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/06/15(金) 23:00:36.21 ID:CypdjJ6do

 渋々といった風に少年は席に着く。
 ようやく話しが出来そうな状況が整ったが、ここにきてフィアンマは悩みの種をもう一つ見つけた。

(で、どうやって切り出す? 「お前の戦う理由はなんだ?」 とか聞いても本心が聞けるとは思えんが)

 元来、彼にそんなコミュニケーション能力は皆無だ。
 これまでは大抵向こうからの歩み寄りがあったから成り立っていたが、今回はそれに期待出来そうもない。
 顎に手を当てて思案した後にフィアンマは、ふと思いついたように天井を見上げた。

「そういえば、この拠点はお前らが建てたのか。見たところ真新しい建物のようだが」

「そうだが。大所帯なのでな、長期滞在の予定があるのだから衣食住は自分達で賄うべきだろう」

「そうか。……妙に、集落から離れたところに建てるのだな。色々と手間じゃないのか」

「いきなり彼らの生活領域に大人数で踏み込んでは、あまり良い感情を持たれない」

「なるほど」

「古くから根付く薄明かりとて拠点は集落から相当離しているくらいだ。下手に反感を煽るつもりは無い」

「まあ、布教だしな」

「それなりの対価を払うに値することであったと思っている。それで、それが何か?」

「いや、別に」

(……で、どうやって本題に持っていくんだ)

 気まずげにして、フィアンマは視線を逃がす。
 適当に話題を振ってそこから本題へ持っていこうとしたのだが、そもそもそういう空気ではないのだ。
 建前を聞いても仕方が無い以上、どうにかしてそういう空気にして本音を引き出す必要があるのだが、

(どうすれば良いんだろうな、こういう場合)

 彼は半ば投げていた。




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