過去ログ - フィアンマ「これがあの男が命を懸けて救った世界、か」
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332:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/06/15(金) 23:22:46.25 ID:CypdjJ6do

「色々なことがあったよ。辛いことも悲しいことも、不甲斐無い自分に苛立ったことも」

 それでも彼らは歩みを止めなかった。同じように少年も両親の後を歩み、二人の死後は先頭を歩いた。
 深々と降る雪が積もるように、少しずつ少しずつ成果を積み重ねていく。

「それら私の行いの全てが、良い結果に結びついたとは思わない」

「お前、昨日は正義だとか言ってただろう」

「それでも、正義であれていると信じている。誤ろうと傷付けようと、悪に染まってはいないと」

「……ふん、それは欺瞞じゃないのか」

「そうでないかといつも疑っているよ。その時々の行いを絶対的に正しいものだと思っているわけではない」

 人は間違うものだということくらい、少年は知っている。
 だから自らの歩みを少年は過信しない。その一歩の正しさを、常に疑いながら歩む。
 そしてそれでも歩みを止めることはしない。過ちの可能性すら恐れずに積み重ねる。

「そうして自らを疑いながら歩んだ道のりは、きっと正しくあれるものだと信じている」

 だから少年は過去を疑わない。
 雪面に残る足跡を振り返り悔やむことがあろうと、それを消してしまおうとは思わない。
 正しくあろうとした自分の歩んだ痕跡を、ただ心に留める。

「正しくありたいと思っているし、これまでそうあれてきたと信じている。だからこれからもそうやって進む」

 それはきっと欺瞞ではない、自らを欺き騙すような矮小な積み重ねではない。
 自らを疑い続ける少年は、そう信じている。

「その過ちも含んだ歩みの結果が、少なくない成果を残しているということも知っている」

 彼は、ずっと自身を疑い続けた自分を知っている。

「それらの道筋全て、経験の全てが、私を動かす理由だ」

 だから進める。
 迷い惑い誤り過ち、それでも進むことが出来る。




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