過去ログ - フィアンマ「これがあの男が命を懸けて救った世界、か」
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51:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage saga]
2011/04/16(土) 23:11:30.32 ID:jsJ9EfJ90

 青年は、ため息を一つ。
 差し出していた手をそのまま伸ばし。
 うずくまったままの少年の襟首を乱暴に掴んで、強引に立ち上がらせる。

「テメエが住んでた屋敷と、ここ。どっちの景色が良い?」

「っ、何の話だよ」

「屋敷だろ。こんなゴミみたいな景色じゃない、さぞお綺麗な景色だったろうさ」

 それを見ていたフィアンマは、廃屋の外へ視線をやる。
 不快な景色だ。
 色彩は濁り、薄暗く見通しはきかない。
 視界に入るのは瓦礫とゴミと灰色の壁、空だってろくに拝めもしない。
 心底つまらない景色。

「だがな、それは誰かが綺麗にしてたんだよ。お前じゃねえ誰かが手入れしてたんだ」

「……そんなの当たり前じゃ」

「ま、だわな。当たり前だ。――で? テメエは今何やってんだよオイ」

 青年は口調を荒げ、少年の襟首を捻り上げる。
 そのまま壁に叩きつけられて、少年の呼吸が一瞬詰まった。

「テメエが何もしなくても窓の外が綺麗だったのは、『誰か』が綺麗にしてたからだ」

「……っ」

「でもな、『誰か』なんてここにはいねえんだよ」

「そんなこと、分かってる」



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