過去ログ - フィアンマ「これがあの男が命を懸けて救った世界、か」
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52:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage saga]
2011/04/16(土) 23:13:12.73 ID:jsJ9EfJ90

「なら質問だ、テメエはこんなクソみたいな景色で満足してやがんのか?」

 少年は廃屋の外を見る。
 いつ見ても、汚い景色だと思う。
 眼に映るもの全てが濁り淀んでいて、とても眺めようとは思えない。

 廃屋の中に視線を戻す。
 片腕の無い、よく分からない男がいた。
 短い赤毛の、激昂している青年がいた。
 自分と同じ金髪の、病に侵された少女がいた。
 勝手に諦めようとしていた、自分がいる。

「あの豚野郎に全部奪われて、満足なのか?」

「……そんなわけ、無いだろ」

「なら立てよ。いい加減に分かってんだろうが」

 襟首から手を離す。
 少年は壁に背中をつけたまま、ずるずると膝を折る。

「じっと椅子に座ってるだけじゃあ、テメエの見える景色はそのままだ」

 そんな少年を、真っ直ぐ見下して。

「景色を変えたいならテメエが動け」

 青年は告げる。

「都合よく助けてくれる『誰か』なんていねえし、都合のいいだけの『何か』もねえ」

 何度も何度も繰り返し、彼を導く。

「リスクとコストばかりが目立つ選択肢だって、選ばなきゃならねえ時があんだよ」

 青年は踵を返す。
 少年に背中を向ける。



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