過去ログ - フィアンマ「これがあの男が命を懸けて救った世界、か」
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(福岡県)
[sage]
2011/03/24(木) 03:41:08.26 ID:5Hr42XYm0
フィアンマは列車に乗っていた。
年季と風情を感じる、上品な装いの車内。
彼はそれを楽しむでもなく、つまらなそうに座席に座っていた。
何を見るでもなく、肘をついて窓の外へ視線を投げる。
景色も、さして良いとは思えない。
やがて目を開けているのも億劫になり、ゆっくりとまぶたを下ろしていく。
「あらあら、貴方、事故にでもあったのかしら?」
が、前からかけられた声にまぶたを上げ、首を回す。
話しかけてきたのは、向かいに座った人の良さそうな老婆だった。
平和な日常風景に容易く溶け込めそうな、柔和な笑顔の老婆。
「右腕のことか」
「ええ。生まれつきでは無いわよね?」
「……まあ、この間色々あってな」
「まあまあ、まだお若いのに大変ねぇ」
彼の尊大な振る舞いも、老婆は気にすることは無い。
彼女はそうだ、と思いついたように荷物を探りだす。
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