過去ログ - 美琴「私が一万人以上殺した、殺人者でも?」
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51: ◆MDOfmX8bYE[saga]
2011/03/26(土) 20:06:25.49 ID:X5AOPpqso

 上条が去った後、遠ざかる足音に耳を凝らしていた美琴は、そこからたっぷり百秒ほど待ってから衣服に手を掛け、脱ぎ始める。
 細かい傷は全身のあちこちに刻まれ、服を着たままでは手当て出来ない箇所が幾つもあるのだ。
 流石にさっき知り合ったばかりの男の子の前で服を脱ぐ真似は出来ず、さりとて世話になった人に出て行けとも言えなかったので、上条が空気を読んで外出してくれたのはありがたかった。

 ふと、わき腹の青痣に湿布を貼りながらその傷を負った場面を思い起こす。
 じわり、と目の端に涙が浮かびかけ、慌てて少女はそれを拭い脳裏の映像を消し去るように頭を左右に振った。

「どうして、こうなっちゃったのかな……」

 弱々しい少女の呟きは、誰にも届く事無く、空気に溶けて消えた。
 包帯を巻く手はのろのろと動き、手当ては遅々として進まない。

 見知らぬ街の片隅で。見知らぬ少年に温もりを与えられ。それでも少女はただひたすらに孤独だった。




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