過去ログ - 美琴「私が一万人以上殺した、殺人者でも?」
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8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2011/03/26(土) 14:35:41.59 ID:X5AOPpqso

「…………」

 その場には吹き上げられた砂埃にまみれつつも、右手を頭上を守るように掲げた上条の姿があるのみで、先ほどまで凄まじい威圧感を放っていたソロモンの悪魔は影も形も見当たらない。

 上条の掲げた右手が、正式な手続きを踏む事でしか還る筈の無い悪魔を、消し去ったのだ。

「ホント、その力は本当に何? 私が今まで読んできた10万3000冊の魔術書の中にも、そんな術式も霊装も用意してないのに全てを打ち消すような術なんて載ってなかったんだよ。私が百年に一度の天才だって言うんなら、貴方は千年に一度の天災かも!」

   イマジンブレイカー
――幻 想 殺 し

 少年の右手に宿りしそれは、異能の力であれば魔法の炎でもソロモンの悪魔でも触れれば一瞬で無に帰す。
 ただし、その右手が打ち消すのは異能の力のみであり、例えば一撃で人間の身体など肉片に出来る悪魔を消し去れるとしても、その悪魔が足元のアスファルトを踏み砕いたら、上条は約9メートル下の水面に打ち付けられ、運が悪ければ溺死体となるだろう。

 なので。

(怖えーっ! 何なのあの化物っ! 咄嗟に庇った右手に当たったら消えたけど絶対死んだと思った! 走馬灯十周くらいぐるぐる回ったよ今ッ!!)

 表面上平静を装い体中からダラダラと大量の汗を噴出させ、それでも男の意地とばかりに虚勢を張ったまま呟く。

「なんていうか、不幸っつーか……ついてねーよな」

 上条の言葉に、ぐっ、と気圧されるように少女が顔をしかめ、目の前の少年を睨みつける。
 犬歯さえ覗かせて苛立ちを露にする少女に、上条当麻はその日を締めくくるように深い溜め息を吐いた。

、 、 、  、 、 、 、、 、 、 、 、
「オマエ、本当についてねーよ」




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