過去ログ - 美琴「私が一万人以上殺した、殺人者でも?」
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909:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga sage]
2012/03/27(火) 02:34:38.47 ID:+HUwLvgzo


 欄干にもたれ掛かりながら呟く彼女の言葉は、過去の自分からこぼれ出た嘆きであり、現在の自分の心に渦巻く叫びでもあった。

 目の前で苦しむ人を助けたいという思いを踏みにじられた、どうにかして自分の力で救い出したかったけど、どうにもならなかった過去と。
 それどころかそれさえ更に大きな陰謀に利用され、挙げ句の果てにそんな自業自得な自分に手を差し伸べようとしたお人好しの馬鹿まで巻き込んで、傷つけてしまった、現在。


(ホント、馬鹿ね……)

                       バ  カ
 そして、何よりも馬鹿なのは、そんな親切な少年に甘えて、救われた気分になってしまった彼女自身。
 こんな馬鹿な自分にも救ってもらえる未来があるのかもと、愚かな幻想を抱いてしまった、どこまでも罪深く愚かな少女。


『助けて……』


 その言葉は誰に聞かれることもなく夜の闇に飲まれて消えていく。
 都合のいいタイミングで現れるヒーローなんて存在せず、少女は悲劇から救われるヒロインなんかでは無く、誰もが笑って帰れるハッピーエンドなんて存在してなどいなかった。
 だから、その呟きは、少女の嘆きは、暗い川面に吸い込まれ沈み消えていくのみ。


『助けてよ……』


 そうする事で、少女は振り切ろうとしていたのだ。自分の胸に残された弱気に、恐怖に。
 たとえ振り切ったその先にあるのが、口を大きく広げて待っている絶望の深淵であるとしても。





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