過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9
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171: ◆5yGS6snSLSFg[sage saga]
2011/03/30(水) 04:50:45.70 ID:2BmaPh3+o
沙織のガンプラ講座C
〜〜最後の仕上げ・墨入れ。そしてトップコートへ〜〜

「できたー!」
「おお、京介氏は完成したようですな」
「おう。いやあ、これだけ作るのにえらい手間がかかっちまったぜ」
「いやいや、十分早い方ですよ。胸を張っていいでござる」
「そ、そうか?」 

へへ、そう言われると悪い気はしないな。

「……キモッ。デレデレすんなっての」
「沙織の本性を知った途端これだもの。嫌になるわね」
「だいたい、あんたのが一番簡単なんだから早く出来て当たり前じゃん」
「ぐっ……」

相変わらず言いたい放題言ってくれやがる。
だが、俺のが一番簡単なのは事実だから言い返せもしねえ。ちくしょう。

「まあまあ。プラモは早く作ればいいってものでもござらん。重要なのはいかに丁寧に作るかでござるよ」

この程度の仲裁は朝飯前と言わんばかりにするりと会話に入ってくる沙織。
この辺の上手さは、ほんと尊敬に値するよ。

「京介氏の物が完成したことですし、ここらで最後の仕上げについて説明しておこうと思いますがよろしいですか?」
「ああ、そうしてくれ。いいよな? 桐乃も黒猫も」

黒猫はともかく、桐乃は絶対に今日中には終わらねえもんな。
それならば、今のうちに最後の仕上げとやらについて説明してもらった方がいいだろう。
俺の言葉に対して無言で頷く二人。
いつもなら勝手に決めるなだのの文句が飛んできてもいいのだが、ゲート処理作業の繰り返しに桐乃も黒猫もどうやら精神的にキているらしい。眼がトロンとしてやがる。
この中断も休憩代わりとしてはちょうどいいだろう。

「墨入れとは、プラモに彫られた“溝”に沿って線を入れる作業でござる」
「ふーん。どんな効果があんの? それ」

疲労のせいか、桐乃の質問も心なしか投げやりだ。

「百聞は一見に如かずでござる。ここに取り出したるは二つの同じパーツ。このパーツの溝に沿ってこの墨入れペンをなぞらせて――そして後から拭き取ってやればあら不思議!」
「お、なんかシャキッとした感じになったな」

陰影のような黒い線が見えることによって、のっぺりとした質感から、より立体的に見えるようになっている。
例えるならこんな感じか。
(´・ω・`)ショボーン → (`・ω・´) シャキーン

……いや、我ながらこれはないな。忘れてくれ。

「その通り。まあ、墨入れの方法は一つではありませんので、試行錯誤して自分に合ったやり方を見つけるのがいいでござろう。ちなみに、この墨入れペンを用いたやり方は最も簡単な方法の一つですな」
「これが終わったら完成か?」
「それでも構いませんが、今回はトップコートを吹いてみましょう」
「ああ、さっき言っていた傷が隠れてくれる――というやつね」
「ええ。傷隠しというと語弊がありますが、この際その認識でも構いません。――今回は無難に缶スプレーの半つやでいこうと思います」

また知らない単語が出てきたな。半つや?

「半つやはつや有りとつや消しの中間にあたるものです。つや有りは文字通りつやつや、つや消しはマットな質感に仕上がるのでござるよ」
「へえ」
「ここでもまた注意事項が一つ。決して雨などの湿気が多い日に吹かないこと!」
「吹くとどうなるの?」
「真っ白くなってしまうのでござる! 所謂“かぶる”という状況に陥るのですよ。……丹精込めて作ったプラモの仕上げでこうなって心を折られたモデラーが何人いることか」

両掌を上に向け、「おおお」と狼狽する沙織。
やっと完成したプラモ。トップコートを吹き、わくわくしながら乾燥を待つ。
そして――
なんということでしょう。匠の悪戯心で丹精込めて作ったプラモが真っ白に。

「悲劇ね」
「まったくだ」



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