過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9
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278: ◆Neko./AmS6[sage saga]
2011/04/03(日) 18:07:10.48 ID:qUKwgnJSo

地獄に仏とは正に……そういや、空港でもそう思ったっけ。
たしかにここはロサンゼルスだもんな。
天使がいるくらいなんだから、仏様がいたっておかしくねえよ。
俺は路面電車のブレーキが利かねえってことを、運転手さんに有りっ丈の大声で伝えた。
すると運転手さんは何を思ったのか、開けっ放しの運転席の窓から左腕を出し、
親指を突き立て俺に向けたかと思うと、一気に路面電車の前に回り込みフルブレーキを踏んだ。
大音響と共に衝撃が伝わり、その後電車の車内にゴムの焼ける臭いが立ち込めた。

「げっ! あんた一体何者なんだよっ。まるで……だめだ、適当な人物が思い浮かばねえ」

ハリウッド映画だってこんな無謀なことやらねえだろっての。

盛大な火花を放ちながら、イエローキャブはその身を犠牲にして路面電車を止めようとしていた。
下り坂にも拘らず路面電車は確実に速度を落とし、そして、何事も無かったかのように停車した。
イエローキャブのタイヤは跡形も無く焼け落ち、今じゃホイールだけになっている。
運転手さんは見るも無残に変形したドアを蹴破るようにして出て来ると、
俺と女の子のいる路面電車の運転席に駆け寄った。

「オマエ ワスレモノダッテ イッテルアルヨ!」

俺はアメリカに来て、初めて泣いた。

大変だったのはその後だよ。
警察のパトカーを初めとして、消防車だの救急車だのがわんさと集まって来て、
一時は人だかりが出来て大騒ぎだった。
運転手さんが機転を利かせて警察に上手く説明してくれたお蔭で、俺にお咎めは無かった。
ただ、女の子の方は、なんで一人で無人の路面電車に乗っていたのかってことで、
これから警察でこってりと絞られるらしい。
でも、運転手さんの話だと警察は子供には優しいから心配ないってことだし、それを聞いて俺も安心した。
短い時間だったけど、アメリカに来て初めて知り合った女の子だろ。
俺は女の子との別れ際、無駄かも知れねえけど日本語で彼女に聞いたんだ。

「俺は、高坂京介。……おまえは?」
「……マイネームイズ、リア! ……リア・ハグリィ。
 おにいちゃん、超好きっ! ちゅっ、ちゅっ」


(完)


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