過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9
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32: ◆Neko./AmS6[sage saga]
2011/03/27(日) 16:40:44.91 ID:4SRjOM3Xo

あやせから告白されても、彼女を傷付けねえように上手くかわしたつもりだった。
それなのに、これじゃあ振り出しに戻っちまったじゃねえか。
何もあやせが言うように、俺があやせを振るつもりなんて微塵もねえって。
ただ、今の俺には、あやせの気持ちを受け止めてやるだけの自信がねえんだ。

「俺はあやせが思っているほど、大した男でもねえし、何の取り柄もねえだろ。
 強いてあげれば、花の名前に詳しいくらいじゃねえか」
「お兄さんはそういうことを言って、また、わたしをはぐらかすんですか?」
「はぐらかすつもりなんてねえって。さっき俺があやせに話した初恋の話、覚えてるだろ。
 ……俺は、そんなことであやせを失いたくねえんだよ」

初恋なんて風邪を引いたみたいなモンで、時が経てば想い出に変わっちまう。
俺はあやせを、いつの日か想い出の中だけに住む彼女にはしたくなかった。
あやせが俺の妹なら、仲違いしたとしても、桐乃の時のように何かの切っ掛けがあれば、
再び仲が良かった元の状態に戻れるかも知れん。
しかし恋人ってのは、お互いに好きだという気持ちだけで結ばれているもんだから、
一度その関係が壊れちまうと、元の他人同士よりも遠い存在になっちまうものなんだ。
恋人同士にはなれなくても、今日のように一緒に出掛けたり、時には怒られたりしながら、
いつまでもあやせには、俺の近いところにいてくれることを願った。

「お兄さん、もしかしたら、今も桐乃のことを……」
「それはねえよ。それだけはあやせに誓ってもいい」
「そうですか。……それを聞いて、少しだけ安心しました」
「もう俺のことなんか、嫌いになっちまったんじゃねえのか?」

あやせは抱えた自分の膝の上にあごを乗せると、可笑しそうに笑いながら俺に言った。

「そうですね。嫌いになったかもしれませんよ。
 ……取りあえず、今日わたしが、お兄さんのことを好きだと言ったことは忘れてください。
 わたしがお兄さんに振られたなんて、納得がいきませんから」

俺はあやせに投げ付けられたラップだの、空のペットボトルだのを片付けてから、
頭上に咲いている桜の木を見上げた。


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