過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9
1- 20
34: ◆Neko./AmS6[sage saga]
2011/03/27(日) 16:41:49.51 ID:4SRjOM3Xo

手のひらに載せた一輪の桜をじっと見つめていたあやせは、
ゆっくりと俺に視線を向けると、俺の眼をしっかりと見据えてから言った。

「来年の桜が咲く頃に、今日お兄さんに摘んでもらったこの桜の花を見た時……
 わたしのお兄さんへの想いが、今と変わらずたしかなものなら……」
「あやせが俺に、改めて告白するって言うのか?」
「……違いますよ。来年の春になれば、わたしは高校生ですよ。
 今よりも、もっといい女になっているに決まっているじゃないですか。
 だから、その時はお兄さんが、わたしに告白をするんです」

あやせの自信に満ち溢れ、そして勝ち誇ったような笑顔を見て、俺は頭を掻いた。
その言い方からすっと、俺があやせに告白することが既定路線ってことか。
俺もあやせもお互いの顔を見合わせて、笑うしかなかったよ。

「じゃあ、その時俺があやせに告白したら、あやせは俺と付き合ってくれるってか?」
「いいえ、一度目は丁重にお断りします。……今日わたしに、意地悪をしたお返しに。
 だからお兄さん、もう一度わたしに告白してください。
 そうしてくれたら、わたしも真剣に考えてあげてもいいですよ」

今こうして俺の顔を見ながら無邪気に笑い掛けてくれるあやせも、
一年後には遥かに美人で可愛くなっているに違いねえ。
その時まで、あやせが俺への想いを持ち続けてくれるかは、誰にも分からねえけどな。

「お兄さん、桜が満開になったら、また連れて来てもらいますから」

それが当然とでも言いたげなあやせを見ていたら、思わず吹き出しちまった。
だけど、あやせは無邪気に笑ってっけど知らねえだろ?
俺の手のひらの中にも、一輪の桜がそっと握られていることを。


(完)


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/717.08 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice