過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]
2011/04/10(日) 00:04:29.38 ID:TgFGyPwQo
「あれ? 桐乃と撮ったのは隣のやつなんだけど」
「いえ、こっちでいいんです」
「?」
あれ? これは『偽装デート』の再現じゃなかったのか? ここまで完璧に再現してたのにこれは再現しないの?
多少の疑問を感じつつも、あやせに言われるがままプリクラの筐体内に入る。
「さあ、撮りますよ!」
あやせはぐいっと俺の腕を引き寄せにこやかにポーズを決めた。
「うん、よく撮れてますよお兄さん」
画面に映し出された写真の映像を見てたいそう満足気なあやせ。
そりゃあ、そうだろう。そこにはだらしないにやけヅラを浮かべた俺と、飛び切りの笑顔を浮かべた少女が映っていたのだから。
あやせの理論で行くと、これで俺が『桐乃との偽装デート』を楽しんだ証拠を手に入れたことになる。
説明する俺もどういう理屈でそうなるのかさっぱりだ。やっぱりこの理屈おかしくないですか? あやせさん。
今回の筐体は桐乃と取ったプリクラと違って、撮った後に文字や記号を書き込めるタイプだった。
さきほど撮った写真に、あやせは『あやせ』『京介』と互いの名前をすらすらと書き込んでいく。
桐乃とのプリクラが『日常的にキスをしてるようなバカップル』の図なら、こちらはさしずめ、『彼女に頭が上がらない情けない彼氏とそんな彼氏をまんざらでもなく思っている彼女』の図だった。
――――――――――――――
「今日は楽しかったですねお兄さん!」
「ああ、そうだね」
最早否定する気にもならない。決定的な証拠はあやせに握られているのだ。
ここで否定しても時間と労力の無駄である。それにどうせ死ぬなら心穏やかに死にたいからな。
不思議なことに今の俺は死を受け入れることができる精神状態にあった。やべーな。俺、悟り開いちゃったよ。
「じゃあ帰りましょうか」
「えっ? 海と山は?」
「え? まだ遊び足りないんですか? でも、時間も時間ですし……」
「いや、そうじゃなくて……俺が楽しんだら殺されるっていう話はどうなったの?」
……しまった! あやせが忘れてくれてるならそのままでよかったのに!
なんで俺はわざわざ思い出させるようなことをしちゃったんだ!?
ははは、これがまさに墓穴を掘るってやつだよ。……実際に穴を掘るのはあやせだけどな。
「お兄さんもしかして本気にしちゃったんですか?」
「え……?」
「いやだなあ。私が本気でそんなことする訳ないじゃないですか」
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片目を細め、にやにやと小馬鹿にしたような表情で俺を見るあやせ。
あるいはその視線は俺を値踏みしているかのようだった。
「えっ? ……えっ?」
頭に回転が鈍い。思考が現実についていかない。
「お、お兄さん。まさか本気で信じ込んでたんですか? だとしたらかなりショックなんですけど…………」
あやせは俺の言動にショックを受けているらしかった。
だがな、あやせ。それは自業自得だというものだ。自分の行動を思い返してみろ。
手錠に金槌、そしてその他もろもろ。誰がどう見ても俺がこんな思考に陥ったのはあやせに原因があると思うんだ。
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