過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9
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422: ◆lI.F30NTlM[sage saga]
2011/04/10(日) 21:56:18.45 ID:UPURqhJ/o




「すみません。ごちそうになっちゃって」
「気にしなくていいよ」

食事を終えた俺達は、昼時前に店を出た。
案の定、ブリジットは定食を食べきることが出来ず、余ったおかずは俺が食べることになった。
おかげで、今は少し腹が苦しい。こんなことならご飯は大盛りにするべきじゃなかったな。

「あんまりこういうところには来たことないだろうけど、どうだったかな?」
「はじめて見るものがたくさんあって、ごはんもおいしくて、すごくよかったです!」
「はは。そう言ってもらえると、俺も連れて来た甲斐があったよ」

女の子があまり利用しないところだが、どうやらブリジットは気に入ってくれたようだ。

「今度、かなかなちゃんとも来ようと思います」
「あー、それはやめとけ」

アイツ、絶対ゴネるからな。


ーーーーーーーーーーーー


少し過分に腹が満たされたので、俺達は腹ごなしもかねて繁華街を歩いていた。
渋谷や原宿ほどではないが、ここいらも若者をターゲットにした店が多く、歩くだけでもそれなりに楽しめるようになっていた。
服飾店のウィンドウには、綺麗に着飾ったマネキンが並び、店先に服を置いてある店もあった。
そういったものを発見するたび、ブリジットは歩みを止め、じっと眺めたり手に取ってみたりしている。
こういうところを見ると、いくら小さくても女の子なんだなぁと感じられた。
そんなことを繰り返していると、ブリジットがある店に小走りで駆け寄った。
手を繋いだままなので、俺もブリジットに引っ張られる形であとを追うことになる。

「わぁ、かわいいですね」
「へぇ。コイツは……」

そこはアクセサリーショップのようで、リングやネックレスなどが安価で売られていた。おそらく中高生を意識した店なのだろう。
ブリジットが見ていたのは、黒塗りの棒に紫色の六花と細やかな装飾が施されたモノ。

「簪だな」
「かんざし、ですか?」
「ああ。日本の伝統的な髪飾りだよ。知ってる?」
「はい。名前を聞いたことはあります」

ファッションアイテムの一つとして使われたりすると聞いたことはあるが、実際に売られているのを見たのは初めてだ。
その周りを見てみると、これ以外にも数種類の簪が展示されていた。人気があるのだろうか?
ブリジットはこの簪が気に入ったらしく、先程からじっと見つめたままだ。
簪に付けられている値札を見ると、ずいぶんと手頃な価格だった。こんなに安いモンなのか?

「すいません」
「はい、いかがされました?」
「この紫六花の簪が欲しいんですけど……」

店員さんに頼んで、ブリジットが見つめ続けていた簪を出してもらった。
当のブリジットはというと、驚いた表情のまま俺を見上げている。

「2,625円になります」
「じゃ、これで」
「2,650円お預かりします。25円のお返しです。お包みになりますか?」
「いや、この娘に付けてもらえますか?」
「え?」

ブリジットの頭にポンと手を置いて、そう言った。ブリジットは突然のことで、状況が把握できていないようだ。

「あと、簪の基本的な付け方も教えてもらえますか?」
「かしこまりました。お嬢さん、こちらへどうぞ」
「え? あ、え? あの……?」

依然としてブリジットは困惑したままだ。その様が可愛くて、俺は自然と笑みを浮かべていた。

「行ってきな。俺からのプレゼントだ」
「あ……、ありがとうございます!!」

ブリジットは過剰なほどに頭を下げて、女性の店員さんの方に駆けていった。
あんなに喜ばれると、俺としてもプレゼントした甲斐があったと思えるよ。


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