過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9
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450:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県)[sage saga]
2011/04/11(月) 21:04:06.28 ID:PwsM2k6to

「……あんたは、あたしのこと嫌いなの? ホントのとこ、答えて」

 急に、先程までとは打って変わって、思いつめたような口調で訊ねてくる。
 その表情は、雨の日の捨て犬のような、不安と哀愁が入り混じったような顔で──。

 ……そ、そんな顔をしないで頂戴。私が悪いことをしているような気がしてくるじゃないの……。

「そ、それは……嫌い……という程ではないけれど……」
「じゃあ好き? 何番目くらいに? 一番はあいつとして──、あ、妹ちゃんとかはナシで」

 一番を確定されているところが気になるけれど、とりあえず置いておくとして。
 ここはやっぱり真剣に答えるべきところよね……。

 妹たちを除外して、私の親しい関係にある人を挙げるとすれば。
 目の前のこの女と、沙織と、赤城さんと──。

 ──それしか思いつかないわよ、悪かったわね、呪うわよ?

 とりあえず、その中で私に一番影響を及ぼしている人物と考えると……。

「……そ、それなら……、あ、あなたが、二番目くらい……」
「なーんだ。それじゃあたしたち両想いじゃん」
「え……そ、そうなるのかしら……?」

 そうはっきり言われると、何となくそんな気もしてくる。
 確かに、あなたも私の中では大切な存在であることは間違いないし……。
 あなたにとっても私がそういう存在なら、それは両想いということになる、のかしら……?

「というわけで何も問題なし! 今日からあんたとあたしは恋人同士!」
「ちょ、ちょっと待っ……」

 頭がぐらぐらして、うまく思考が定まらない。
 「問題なし!」と断言されると、疑問を抱く私のほうが間違っている気がするし……、でもやっぱり何か問題あるような気も……。
 というか、お願いだから少し冷静に考える時間を頂戴……っ。

「ナニよ、まだなんか文句あんの?」
「……な、何かおかしい気がするのだけれど……」
「キノセイじゃないの? あ、もしかして『恋人』よりアタシの『妹』になりたい!っていうなら特別にそっちでも──」
「こっ、恋人でいいわっ!」
「ハイ決定! 恋人契約成立っと!」

 ────し、しまった……っ。

 ……この女の『妹』になどなったら、どれ程の変態行為が我が身に及ぶことか……想像しただけで背筋が凍りつく。
 それならいっそ『恋人』という、幾らか対等な関係のほうがまだしも救われる──。
 どちらかと言えば“まし”な方を選んだだけなのに、何故か告白を承諾した形になっているわよっ?

「そういうワケで、これからよろしくねっ、瑠璃っ!」
「るっ……」
「恋人同士はやっぱ、下の名前で呼び合うもんでしょ。あんたも、これからはあたしのことちゃんと名前で呼ぶこと! はい練習っ!」
「えっ……き、き……きり……? ──……桐……乃……?」
「よし!」

 満面の笑みに八重歯を覗かせて、親指を立てた右手を私の目前に突き出す。
 状況をまだ整理出来ていない私を余所に、勢いよくベンチから立ち上がり、お尻の埃をパンパンと払って。

「 は〜、何かいっぱい喋ったらノド乾いたよね〜。お化粧も直したいし、どっかでお茶にしよっ! ほらっ、瑠璃も立って!」

 そう言って、私に手を差し伸べる。
 
 その顔は、私が羨望してやまない、陽光すら眩まんばかりの目映い笑顔で。
 こんな笑顔を傍で見ていられるなら、こんな関係も悪くはない……のかしらね──などと、不覚にも思ってしまった。


 そうしてこの日──私と桐乃は、恋人になった。


 -END-(if・闇猫更生?編)


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