過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9
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◆Neko./AmS6
[sage saga]
2011/04/17(日) 20:45:32.32 ID:tbBN9wvGo
俺とあやせの世にも奇妙な光景を見ていたブリジットは、
肩から提げていた小さなポシェットから何やら取り出すと、トコトコとあやせに近づいた。
「あやせお姉さん、お姉さんから渡されていた……これ、お返しします」
「ブ、ブリジットちゃんっ!? そ、それはいま返さなくても――」
俺は携帯を切りながら、慌てふためくあやせを尻目にブリジットに優しく語り掛ける。
「なあ、ブリジットちゃんが手に持ってるヤツ、俺に見せてくんねえか?」
「おっ、お兄さん、それは何でもないんです。決して怪しいものでは……」
ブリジットはあやせをチラリと見てから、それを俺に手渡してくれた。
やっぱ事務所の先輩よりも、元マネージャーの方がブリジットの信頼度は上なんだよ。
ブリジットが持っていた物は、一見すると携帯電話と見紛う外観をした代物だった。
俺は受け取ったブツを矯めつ眇めつ眺めてからあやせに聞いた。
「あやせ、これはCMで見たことあるけど、ココセコムっていうヤツじゃ?」
「……わたしには事務所の先輩として、
お兄さんの魔の手からブリジットちゃんを守る義務があるんです」
「おまえなぁ、言うに事欠いて俺の魔の手って、そりゃあんまりだろうが」
俺は、あやせがてっきり開き直るのかとも思ったが、どうもそうではなかった。
自分の言っていることに無理があるってことは、十分承知しているらしい。
「こんなことまでして、本当は悪いと思っているんですよ。
もし、お兄さんが怒ったのなら、別にわたしのこと殴ってもいいですよ。
だって……わたしは、いつもお兄さんに酷いことしているんですから……」
あやせは上目遣いで俺にそう言ってから、俯いてしょんぼりとしちまった。
重苦しい沈黙の時間が、俺とあやせの間に流れる。
ブリジットは、ココセコムが何かなんて全く知らない様子だった。
むしろ、それをあやせに返そうとしたことであやせが俺に殴られるんじゃないかと、
今にも泣きそうな顔でオロオロとするばかりだ。
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