過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9
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52:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県)[sage saga]
2011/03/27(日) 22:02:45.75 ID:VzcOF4WKo
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ファッション誌のモデルほど、季節感が狂う職業は無い。俺はそう思っている。
まだ夏も終わりきっていないというのに、冬物の衣装を纏って、撮影を行うんだからな。
今日の仕事はそういうものだ。スタジオで、秋に出版する雑誌に載せる写真の撮影。衣装は冬物だ。
世間でいくら猛暑だの暖冬だのと声高に叫ぼうが、日本から四季が消えてしまわない限り、この不可思議現象は無くならないだろう。
カメラを見つめる彼女達の姿は華々しく、慣れていない者にとっては眩しく見える。
けれど、俺の目はそこには向かず、心はここに無く、思考は別のことに使われていた。

「高坂さん?」
「うおっ!?」

突然掛けられた声に、思わず大きな声をあげてしまった。
目の前には美しく着飾った加奈子の姿があり、俺を驚いた表情で見上げていた。

「す、すみません!大きな声を出して……」
「い、いえ。私の方こそごめんなさい……」

お互いに謝り、そのまま沈黙。……むぅ、気まずい。
と、とりあえず!この空気を何とかしなければ!

「「あの……」」

ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ……。気まずさアップ!
もうやめて!俺のライフは0よ!

「あの、どうかしましたか……?」

気まずさの海からなんとか生還し、俺は言葉を発した。

「いえ、休憩に入ったんで声を掛けただけなんですが……」
「あ!す、すみません!ボーっとしちゃってて!」

休憩に入ったことすら気付かないとは、業務中に何をやってるんだろうね。
俺は慌てて、先程コンビニに行って買ってきたものを取り出そうと、袋の中をまさぐった。
あれ?無い、無いッ、無いッッ!いつも買っている加奈子のお気に入りが入ってないッ!
いくら中を検めても、いつものカフェスイーツは見つからなかった。代わりに俺のお気に入りである、チルドカップに入ったエスプレッソが二つ。
まさか……買い忘れた、のか?本当に、俺は何をやっているんだ……。

「すみません!いつもの買い忘れたんで、急いで買ってきます!」
「あ、待って!」

スタジオを出ようと走り出した俺の腕を、加奈子は少し強引に掴まえた。

「そんなに気にしなくても大丈夫ですから……」


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