過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福井県)
[sage saga]
2011/03/27(日) 22:03:52.48 ID:VzcOF4WKo
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それから俺は、時間の合間を見つけてはテレビ局の人間を中心に直接会い、加奈子やブリジットの単独出演について交渉した。
どうしても会いに行けない時は、電話やメールでその旨を伝えた。
営業の人間や、事務所内で対外交渉を行う後輩たちにも協力を仰いだ。もちろん、加奈子には秘密にするよう言い聞かせてな。
休日も潰し、残業時間も増やして、俺は色んな人間と交渉を繰り返した。その結果は……、
「はい。はい。そうですか。いえ、無理を言って申し訳ありませんでした。はい。今後とも、よろしくお願いいたします」
とあるテレビ局の番組制作ディレクターとの電話を終え、俺は大きく息を吐いた。
「また駄目だったな……」
衰退の激しいこの業界は、勢いのあるモノについては積極的に利用する。これは、いつの時代でも同じことだった。
この場合、「加奈子とブリジット」という二人が当てはまるが、個人についてはそうではないようだ。
商業価値の低い、もしくは無いモノに関しては、その扱いは手厳しい。道理である。
出演を断られたのは、先の電話を含めると、もう三十件を超えていた。これだけ断られると、妹様の無理を散々叶えてきた俺も気が滅入ってくる。
首を回し、凝り固まった筋肉をほぐす。首の骨がゴキゴキと鳴った。
「無理があるのか……?加奈子には価値が無いとでも言うのかよ、ちくしょう……」
もちろん、そんなことは無い事などわかっている。
加奈子は女性に人気のあるファッション雑誌で、モデルを務めている娘だ。彼女単体の人気も、その雑誌の読者である女性からは当然高い。
けど、それはテレビ局の人間には通じなかった。
このままブリジットと共に知名度を上げていけば、二人でアイドルデビューも出来るかもしれない。
だがそれは、本当に加奈子の望んだ結果なのだろうか?
時流に乗り、一時の金儲けに付き合わされ、価値が無くなればそれまで。それを前提でやる仕事など、俺は彼女にさせたくなかった。
実力もあり、努力もしてきた彼女に、そんな刹那的なことはさせたくなかった。
だが、現実はいつでも厳しいものだ。俺のような凡庸極まりない人間には、時代の流れを変えることなどできはしない。
「まだだ。諦めるには、まだ早い……」
俺は自身を鼓舞する意味も込めて、そう口にした。
スクリーンセーバーが起動しているディスプレイを切り替え、息抜きがてらネットの海に潜る。
一応言っておくが、サボってるわけじゃないぞ。これも立派な仕事だ。最新のトレンドを把握するためのな。
ニュースサイトを巡回していると、一つの記事が目に入った。俺はその記事をクリックし、詳細を読み始めた。
「これは……」
それは、俺にとって天啓だったのかも知れない。
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