過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9
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749: ◆lI.F30NTlM[sage saga]
2011/04/30(土) 00:52:16.57 ID:R8W0Wd2So
世に「兄妹」は数多いれど、その意味を正しく理解している人間はどれほどいるだろうか。
決して少なくはないと信じたい。
だが、ウチの妹はその「理解していない側」の一人であることは間違いない。
そう、アイツの中では「兄=奉仕者」という図式が確立している。

休日の朝。
遅刻というペナルティを気にせず眠っている俺に、災厄が降ってきた。
惰眠を貪るという高尚で重要な任務を全うしている俺の腹部に、突然衝撃が襲ってきたのだ。

「ぐほぉっ!」

なんとも間抜けで醜い呻き声を上げながら、俺は衝撃に見舞われた腹部を見る。
そこには、あれほど強烈な一撃を放ったとは思えないほど華奢な足があり、その踵は綺麗に俺の腹に刺さっていた。
その足の持ち主は……、

「いつまで寝てんだ、バカ兄貴。さっさと起きろ」

俺の三歳年下の妹、加奈子だった。

「痛えだろうがっ! もう少しマシな起こし方をしやがれ、加奈子っ!」
「わざわざ可愛い妹が起こしに来てやったんだぞ。怒られる筋合いはねーっての」

相変わらず、クソ生意気な妹だ。兄に対する態度がなっていない。
痛みと怒りですっかり目が覚めてしまった俺は、掛け布団をどけ、体を起こした。
そこで気付いたのだが、このクソ生意気な妹は妙に洒落た格好をしていた。

「なんだ? どっか行くのか?」
「ちっと買い物」
「そうかい。気をつけてな」

妹に優しい言葉を掛け終え、顔を洗うべくベッドから抜け出した俺の脛に、またも痛みが走った。
原因は……言わずもがなだ。

「〜〜〜〜〜っ! バカスカ蹴るんじゃねえよっ! 俺はサンドバッグかっ!?」
「バカ兄貴がまだ寝ぼけてるのがワリーんだよ。それより、さっさと準備しろっての」
「はぁ?」

なに言ってやがんだ、コイツは。準備ってなんのことだよ。
俺の表情から心情を読み取ったのか、加奈子は盛大に溜息を吐いた。その仕草のムカつくことムカつくこと……。

「兄貴も付き合うんだよ。加奈子の買い物」
「なんで俺が……」
「加奈子〜、今、すっげ〜欲しいものがあるんだけどー。ちょお〜〜〜〜〜〜っと手持ちが足んないんだよね〜〜♪」

なるほど、大体わかった。
要するに、コイツは俺にたかりに来たってワケだ。
まったく、コイツは兄貴をなんだと思ってんだ。俺はお前のサイフじゃねえっての。

「ねぇえ〜。お・ね・が・い♪」

ぐあああああああああああああっ!! 気色悪いぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!
お前の本性は知ってるんだから、ンな猫撫で声出されても無意味だっつーーーのっ!!
……仕方ない。今回だけ。今回だけだ。
これ以上この態度を取られ続けたら、俺の健やかな精神に重大な欠陥を生じさせる可能性があるからな。
それだけだぞ。他意はない。

「はぁ……。わぁーったよ。準備するから、少し待ってろ」
「やったー♪ サンキュー兄貴」

無事承諾を得られた加奈子は、いつもの生意気な態度とは打って変わって、女の子らしく喜びを表現し、俺の腰に抱きついてきた。
ったく、現金なヤツだ。普段からこういう態度なら良いのにな。

「んじゃ、手早く顔洗って、メシ食ってくるから」
「いってらっしゃ〜い」

出かける準備をするために部屋を出る俺を、加奈子は満面の笑顔で、手を振りながら見送った。


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