過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9
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764: ◆lI.F30NTlM[sage saga]
2011/04/30(土) 16:48:55.05 ID:R8W0Wd2So
>>763
兄妹仲と言うのは、大きく分けて二つの種類があると俺は思っている。
「めちゃくちゃ仲が良い」か、「関心など全く無い」かのどちらかだ。
俺にも妹がいるが、兄妹仲ははっきり言ってめちゃくちゃ良い。
ただ……、ウチの妹はちょっと特殊だとは思うがな。

夕日の朱が住宅街のほとんどを染める中、俺はいつものように幼馴染の田村麻奈実と帰路についていた。
近所の丁字路に差し掛かったとき、その陰から女子中学生が二人が現れた。一人はよく見知った顔だ。
二人の内の一人――艶やかな黒髪を持つ中学生が俺に気付き、気さくに声を掛けてきた。

「お兄さん! お兄さんも今、帰りですか?」
「そうだよ。奇遇だな、あやせ」

中学生にしては大人びた容姿、濡れ羽色の長髪を持つこの女の子の名は高坂あやせ。俺の可愛い可愛い妹だ。
あやせは俺の隣にいる幼馴染の姿を見ると、笑顔で挨拶をした。
不思議なのは、その笑顔が少し怖いことだが、俺はもう慣れている。

「お姉さんもこんにちわ」
「こんにちわ、あやせちゃん。ところで、隣の娘はだれかな?」

あやせが纏う雰囲気に気付いていないのか、麻奈実はにこやかに挨拶を返した。
あやせの隣にいる美少女は、麻奈実に声を掛けられ、少し困ったような笑顔を浮かべて自己紹介をした。

「はじめまして。あやせさんのクラスメイトの新垣桐乃です」
「俺は高坂京介。あやせの兄貴だ。妹が世話になってる」
「こんにちは〜、田村麻奈実です。あやせちゃんとは幼馴染なんだ〜」

新垣さんの自己紹介に続けて、俺と麻奈実も自己紹介をした。
それにしても、この娘もあやせに負けず劣らずの美人だ。
ライトブラウンに染められた長髪、中学生とは思えないほど発達したスタイル、手や耳には幼さを感じられない装飾品の数々。
それ以上に、この娘が放つ雰囲気は、凡人である俺には眩しささえ感じられた。これがオーラってやつかな?

「桐乃は、わたしの大事な大事な親友なんですよ」
「ちょっと、やだ〜。恥ずかしいよ、あやせ」
「本当のことなんだから、恥ずかしがることなんてないよ、桐乃」

あやせに「親友」と言われた新垣さんは、本当に恥ずかしそうな声をあげ、あやせの肩を軽く叩いた。
いくら大人びているからと言って、こういうところはほかの中学生と変わらないんだな。見てて非常にほほえましい。

「新垣さん。これからも、あやせと仲良くしてくれな」
「はい。あたしも、あやせのことは大切な親友だと思ってますから」

俺の言葉を受けて、新垣さんは笑顔でそう返してくれた。夕日のせいなのか、彼女の頬がほんのり赤くなっているように見えた。
その笑顔は本当に可愛くて、俺もついつい笑顔になってしまう。こういう状況でなければ、傍からは初々しいカップルに見えるかもしれない。
だが、それは長くは続かなかった。妹の一声で、強制的に終了させられたからだ。

「桐乃。わたし、ちょっとお兄さんと寄る所があるんだけど……」
「あ、そうなんだ。いいよいいよ、あたしのことは気にしなくて」
「本当にゴメンね。お姉さんも、少し兄を借りていいですか?」
「うん、いいよ〜。相変わらず仲良いね〜」

寄る所? そんな約束してたっけ?
俺がここ数日の出来事から該当しそうな項目を洗い出している間に、新垣さんと麻奈実は歩き出してしまった。
俺とあやせは、手を振りながら二人を見送った。姿が見えなくなったところで、あやせは俺の右腕に自分の腕を絡ませた。
これだけ聞くと、ほほえましい気持ちのなるだろ? でもな、事実はそうじゃないんだ。
あやせは両腕は、俺の右腕をがっちりホールドしてるんだよ。
なんでそんなことをするかって? 俺を「逃がさない」ためさ……。

「お兄さん、いつもの公園に行きましょう。この時間、あそこなら『誰もいない』ですから」
「お、おう……」

そこでやっと気付いた。あやせは怒っているって。
多分、さっきの出来事が原因なんだろうが、どこで怒らせちまったのかは見当もつかない。
あやせがこうなっちまうと、俺に拒否権は一切ない。下手に抵抗すれば、より大きな怒りを買うことになる。
こういう場合は、おとなしく言うことを聞くのが得策なのだ。
だから、俺はあやせの言うことを素直に聞いた。今日の説教は短いと良いな……。



こんな感じ?


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