過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9
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844: ◆Neko./AmS6[sage saga]
2011/05/02(月) 22:32:39.75 ID:D+xw36Tuo

俺がスウェットのズボンを穿いてリビングへ戻ると、気付いたあやせが後ろ手に何かを隠した。
俺の動きを眼で追いながら、何やら悪戯っぽい笑顔で俺を見ていやがる。
たぶん後ろ手に隠したモンが、さっきあやせが言っていたプレゼントなんだろう。
金は掛けねえし、俺はサインをするだけだっつーから、大したもんじゃねえんだろうけど。
俺の妹は、たまに兄貴の俺が想像もしねえようなことを思い付きやがるからな。
サインだけだって言われても、用心するに越したことはねえ。

「――で、俺は何にサインをすりゃあいいんだ?」
「これにお願いします。……下の方に、サインをするところがあるでしょ」

あやせが俺にサインをしろと差し出したものは、映画のチケットくらいの小さな紙片だった。
しかし、俺がサインをする部分以外はあやせが手で隠しているもんだから、
幾らなんでも俺だって気軽にサインをするわけにはいかねえ。
どう見ても映画のチケットなんかじゃねえし、よく見りゃ手作りのような気もする。
たぶん、あやせがパソコンで作ってプリントアウトしたモンなんだろう。

「どうしたんですか、お兄さん? サインをしないつもりですか?」
「いや、そうは言っても、これが何なのか分からんのにサインできねえだろ」
「お兄さんは、妹のわたしの言うことが聞けないんですか?」

俺はあやせの声のトーンが変わったことにビビリながら、そっと妹の顔を窺った。
あやせの顔からは笑顔が消え、その瞳からは光彩が消失していた。
このまま俺が押し黙っていれば、あやせの口から『ぶち殺しますよ』との台詞が飛び出すのも
時間の問題だろう。いや、俺の命の問題かもしれん。

「な、なぁ、あやせ……もしも俺がサインしなかったら、どうするつもりだ?」
「……お兄さんがサインをしないなんて、わたしは全く考えていませんけど。
 もしそういうことになれば、“お兄さんが、わたしの下着を盗みました”って、
 お母さんに言い付けるだけです」
「おまえなぁ、そんなウソをお袋が信じるとでも………………」

俺は、あやせの言う通りに黙ってサインをした。


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