過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9
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861: ◆lI.F30NTlM[sage saga]
2011/05/03(火) 02:04:44.53 ID:NFJMqSAYo
「だって、デートなんですよ。こんな綺麗な場所で、いい雰囲気なんですよ。当然じゃないですか」
「いや、そうは言うがな。人目もあるし……」
「せんぱい、女の子にここまで言わせておいてなにもしないんですか? あたしに恥をかかせるつもりですか?」
「う……」
「男なら、思い切って来てくださいよ。あたしは『したい』って言ってるんです」

さあ、あたしは言いたいことを全部言いましたよ。どう出るんですか、せんぱい?
せんぱいはしばらく悩んでいましたが、やがて……、

「わかった。そこまで言われたら、俺も引き下がれねえよ」
「と言うか、ここまで言われないと覚悟を決められない、って方が正しいと思いますけど」
「お、おい。あんまりいじめるなよ。…………いくぞ」
「はい」

せんぱいはあたしの肩を掴んで、体を自分の方に引き寄せました。
あたしは目を瞑り、せんぱいが来てくれるのを待ちます。
あれだけ言っておいてなんですけど、あたしもすごくドキドキしてます。
視覚を自分で封じたからか、心臓の音がうるさいくらいに聞こえます。ドクン、ドクンって。
ああ、きっと今のあたし、すっごく顔赤いんだろうなぁ。恥ずかしいよぅ。
せんぱいの気配が近付いてくるのがわかる。もうすぐ、あたし……。

ちゅっ♪

「よ、よし! したぞ」

せんぱいの気配が離れていって、声が聞こえました。
そこで、あたしはようやく目を開けました。さっきまで暗闇の中にいたので、夕日が眩しいです。
せんぱいの顔を見ると、夕日の色でも隠れないほど顔を赤くして、そっぽを向いてました。
その顔を見て、あたしは自然と溜息を吐いてしまいました。

「せんぱいって、ホント意気地なしですね」
「おい!? ちゃんとしたじゃねえか!」
「あれだけ大見得切って、したのはちょっと触れるだけのキス。はっきり言って、期待外れもいいところです」
「ぐ……」

せんぱい、言い返してこないところを見ると、自分でもそう感じてるんですね。
しょうがないなぁ。今回は、これで及第点としておきますよ。

「今日はこれで許してあげます。今度のデートは期待してますからね」
「へ?」
「さ、帰りましょう。これ以上は家に着くのが遅くなっちゃいますから」
「ちょ、おい! 瀬菜!」

まだ何か言いたそうにしているせんぱいの手を引いて、あたしは駅に向かって歩き出しました。
せんぱい。今度は、せんぱいからキスしてきてくださいよね。


おわり


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