過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9
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895: ◆Neko./AmS6[sage saga]
2011/05/03(火) 20:34:52.66 ID:fK0gY2ago

応接室のテーブルを挟んで、俺とお義母さんとの間には重苦しい空気が漂っていた。
目の前に突きつけられた離婚届から眼を逸らし、俺はただ黙って床を見つめる。

「京介さん、私もね、別に暇を持て余しているわけではないのよ。
 いつまでも黙っていないで、さっさと離婚届にサインをしてもらえないかしら。
 そもそも私はね、あなたたちの結婚には反対だったのよ。
 初めから、あなたが新垣家の人間として相応しいとも思えなかったしね」

口元に薄ら笑いを浮かべたクソババアに対して、俺は何の反論もできなかった。
就職にしろ、あやせとの生活にしろ、何もかも新垣家に世話になっている俺には
反論する余地なんかひとつもありゃしねえ。
俺はただ言われるままに、目の前の離婚届にサインをするしかねえんだろう。

テーブルに置かれた万年筆を無視し、俺は胸ポケットからボールペンを取り出すと、
離婚届の夫の欄に自分の名前を書こうと身を乗り出した。
まさにそのとき、応接室の扉が勢いよく開き、あやせが血相を変えて入ってきた。

「お兄さんっ! 本当にサインをするつもりですかっ!?
 わたしは、お兄さんと別れたくなんかありません、そんなのいやですっ!」

あやせの澄んだ綺麗な瞳からは、大粒の涙が溢れ出ていた。
しかし、今のような甲斐性のない俺には、あやせの母親に逆らってまでして
あやせとの結婚生活を続けることは困難だって目に見えている。

「あやせ、分かってくれ……。
 今の俺には、おまえに洋服のひとつも満足に買ってやれねえ。
 お義母さんのおっしゃるように、こうするのが一番――」
「お兄さん、わたしはそんな贅沢なことは望んではいません。
 わたしが望むことは、いつもお兄さんがわたしの側にいてくれる、それだけなんです」

あやせのうそ偽りのない台詞を聞いて、俺の心は決まった。
やはり、裏で糸を引いていたのは、目の前のクソババアだったんじゃねえか。
俺はあやせをしっかりと抱き締めると、クソババアを思いっきり睨みつけてやった。
クソババアは憤怒の表情で立ち上がると仁王立ちになり、見る見ると膨らんでいった。
膨張するクソババアに俺とあやせは部屋の隅まで追い詰められ、
俺たちの運命もこれまでかと諦めかけた矢先、クソババアは大音響と共に爆発した。


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