過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9
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896: ◆Neko./AmS6[sage saga]
2011/05/03(火) 20:35:38.94 ID:fK0gY2ago

俺は額にびっしょりと汗を浮かべ、肩で荒い息を吐きながら辺りを見回した。
悪夢っていうモンは、いつなんどき見るか分かったモンじゃねえよ。
座ったまま眠るとロクな夢を見ないって、いつだったか誰かに聞いたことがある。
見回せばいつもの部屋、いつもの家具、まったく変わり映えのない風景だ。

そして、俺がもっとも心安らぐいつもの……

「お兄さん、それじゃあわたしは、お夕食のお買物に行って来ますから。
 ……今日は、何か食べたいものとかありますか?」

台所で洗い物を済ませたあやせは、天使のような笑顔で俺にそう訊くと、
はにかみながらエプロンの裾で濡れた手を拭っている。

「あやせの好きなモンでいいよ。……ツワリが、まだ重いんだろ?
 ところでさぁ、俺たちは結婚してから三年にもなるんじゃねえか、そうだろ。
 いつまでも“お兄さん”って呼び方はおかしいんじゃねえのか?」
「そっ、そうですよね。……わたしたちは、もう誰が見ても夫婦なんですものね。
 じゃ、じゃあ……あ、あなた――」

照れくさいのか、今にも消え入りそうな小さな声だった。
だけど、結婚して以来、あやせが俺のことを初めて“あなた”と呼んでくれた。
天にも昇る気分っていうのは、まさにこのことだと思ったね。
俺はこのまま天に召されようと地獄に落ちようと後悔はしねえ。
嗚呼いとしのラブリーマイエンジェルあやせたん。

西日の当たる六畳一間の和室、カセット式ガスコンロしかねえ小さなキッチン。
他にはトイレとユニットバスだけの、本当に安普請で小汚い小さなアパートだ。
電車が通過するたびに、地震かと思うほどアパート全体が激しく揺れる。
しかし、俺とあやせにとっては、これ以上望むべくもない愛の巣だ。


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