過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9
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91:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[sage]
2011/03/28(月) 19:44:36.45 ID:gqKd6v2y0

「私は………何か用事がなくては、貴方に会いに来てはいけないのかしら?」
「えっ?いやっ、別にそんなことはないが…」

それはおよそ黒猫らしくない言葉で、口調もどこか寂しげだった。

でも、言われてみれば確かにその通りだよな。なんせ俺とこいつは…つ、付き合ってるわけだしよ?
本来であれば『どうしても貴方に会いたくて来てしまったのよ…』なんて言われてもおかしくない関係なのかもしれん。
でもそんなこと黒猫は絶対に………いや、一応聞くだけ聞いてみても……………

「も、もしかしてお前さ……ただ単に、俺に会いたかったから教室まで来てくれたのか?」
「なっ………勘違いしないで頂戴!だからといって、私が何の用事もなしに来たとは言っていないでしょう?
まったく、これだから人間風情は………」
「わかったよ!うん、俺の勘違いだった。わかったからそんなに興奮するなって!」


やはり、俺の彼女がそんなに可愛いわけが…なかったか………。
でもそんなにムキになることもないと思うんだけどな…。顔真っ赤にしちゃってさ。これ、絶対怒ってるよな?
…あれ?なんだろう?やけに読者諸君からの冷ややかな視線を感じるんだが……………



「…と、ところで先輩。先輩はもう昼食を済ませたのかしら?」

こりゃまた唐突な質問だ。しかも、この変に声が上ずった感じは…さっきの俺と全く同じじゃないか。
さては、こいつも無理に話題を変えようとしてるな?
まあ俺も言えた義理じゃないから心の声に留めておくけど…。黒猫よ、お前もなかなか話題作るのヘタクソだな…。


「いや、昼飯はまだだよ。誰かさんが急に訪ねて来たもんだから食いそびれちまってな」

俺はちょっとしたさっきの仕返しのつもりで軽い嫌味を入れてみた。
まあ実際のところ、一応購買でおにぎりは買ってあったから嘘をついたわけじゃないけど。
だが思いのほか、黒猫はなんだか安心したような素振りを見せている。
俺が飯を食いそびれたのがそんなに嬉しいんだろうか?


「そんな言い方………でも、それなら丁度いいわ。」

そう言って黒猫は、さっきから手に持っていた大きめの巾着袋に手を突っ込んだ。
教室の外で見かけた時からずっと持ってたから俺も地味に中身が気になってはいたんだよな。
おそらくこの巾着袋も手作りなんだろう。その証拠に、こいつお得意の黒い猫の刺繍がされている。

「これを…」
黒猫が取り出したのは、これまた大きめなサイズのプラスチックで出来た長方形の容器だった。
至ってシンプルなデザインだが、この箱の感じには何度も見覚えがある。
そしてこの流れからすると、これはもしかして…いや、間違いなく………

「…これって弁当箱………だよな?まさかお前、俺のために弁当を…」
「違うわ!」

俺がほのかに寄せた期待は即座に否定されてしまった。
が、ここはさすがに俺の見当違いじゃないはずだぜ?もう少しだけ粘ってみることにしよう。

「いや、でもこれどう見ても…」
「くどいわ、先輩。これは…魔道具の一種・“常闇の匣(ハコ)”よ。疑うのなら開けて御覧なさい。そうすれば手っ取り早いわ。」
「そんなにムッとした顔で言わなくてもいいじゃねえかよ!?
へいへい…それじゃ、開けさせてもらうぜ?」

これはどう考えても弁当だ。俺にとっては人生初の愛妻弁当どころか初めての彼女の手料理だ。
それはもちろん素直に嬉しいのだが、重大な疑問があることも確かである。

こいつの作る弁当には一体何が入っているんだ…?
変にキャラにこだわって黒魔術の食材みたいの入ってないだろうな?トカゲとか。
いや、そんなもの一般市場では手に入らないか…
うーむ、まったく予想できん…。


俺は期待半分・不安半分で箱を覆っていたゴムバンドを外し、蓋に手をかけた。





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