過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9
1- 20
93:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[sage]
2011/03/28(月) 19:46:46.69 ID:gqKd6v2y0
うん、溜めただけあっていつもよりだいぶ長いな…。照れ隠しのためにここまで頑張るヤツなんてなかなかいないと思うぜ?
そして、抑え気味の声量だったとはいえこれだけの厨二台詞を一気に語ったせいか、さすがの女王様もゼエゼエと少し息切れしてしまっている。
そんなに必死にならなくても…。
まっ、いつも通り意味はよくわからないけどよ…。なんか俺が処刑されることになってた気がするが気のせいかな?
これは英文翻訳とはまた違った難しさがあって、何度聞いても一発で詳細は理解出来ない。
まあでもアレだろ、最後の部分から察するに…要約すると『とりあえず黙って食え!』ってことだよな?多分。


「ま、まあ、闇の世界の掟についてはイマイチわからんが………とにかく、お前が俺のために弁当作ってきてくれるなんて嬉しいよ。ありがたく頂くぜ。」

隣ですかさず黒猫が「だからそんなものではないと…」と呟いていた気がしたが聞かなかったことにした。
皆曰く俺は鈍感らしいから断定は出来んが、ここは多分深く突っ込んじゃいけないトコだろう。
また困らせてもかわいそうだし、意地になって更なる超暗黒理論が襲い掛かってきても厄介だしな。


「それじゃ、いただきます。」

そんなこんなでようやく実食タイムが訪れた。俺が黒猫をからかわなかったらもう少し早く食べられたのかもしれないが。
しかし、すでに見た目でかなり期待が持てるとはいえ、作った本人を前にして食べるのはなかなか緊張するものだ。
チラッと横目で隣を見ると、その作った本人である黒猫も、やや緊張気味に俺の箸の動きを目で追っている。

俺は最初に白ご飯を軽く口に含み、焼き鮭をかじった。


――うん。やっぱり美味しい。
しょっぱ過ぎず薄過ぎず、尚且つ鮭本来の旨みが感じられる絶妙な塩加減だ。ご飯にもちゃんと合う。
しかも鮭の大きい骨はちゃんと取り除いてくれていて食べやすい。
次は卵焼きに箸を伸ばしてみる。
これは……なんか甘い味がするな。砂糖で味付けしてるのかな?
ウチのとは違うけど、でもこれはこれで全然アリだ。普通にイケる。卵焼きもやはり見た目に違わない味だ。
どうやら黒猫の料理の腕は本物みたいだな。こんなに料理の上手い彼女を持てて俺は幸せ者だぜ!


俺は夢中になって生涯初の愛妻弁当を黙々と食べ続けた。いや実際、普通に美味しくて箸が止まらなかったんだよ。
だが黒猫は、感想すら一言も口にせずただひたすら食べ続ける俺に対してどうやらしびれを切らしたらしい。
俺の顔色を伺いながらいつもの調子でこう切り出してきた。

「どう?この匣(ハコ)に込められしは純粋な闇。漲るような魔翌力を感じるでしょう?…それと……………」

ここまでは完全に、いつもの愛すべき厨二病患者・“黒猫”モード。
だがこの続きは一気にトーンダウンして、素の“五更瑠璃”が見え隠れしていた。

「貴方の…口に合うかしら………」

この、期待と不安を兼ね備えた、思わず抱き締めたくなるような俺の彼女の表情といったら!不覚にも一瞬ときめいちゃったよ!
付き合ってる俺が言うのもなんだけどさ、“黒猫”からの“五更瑠璃”は反則だと思うんだよね。ギャップ萌えってヤツ?
…お前ら、そんな目で見なくてもいいじゃないか……。俺だってたまにはノロケたくなる時だってあるんだよ!

「うん。すげえ美味しいよ!味付けもなんか俺好みでどんどん食べたくなってくるっていうか…。
お前は手先が器用なだけじゃなくて料理も得意なんだな。その…なんか惚れ直したよ。」
「あ、貴方は何を言っているの!?ここは学校よ!?また莫迦なことを…。」

黒猫は俺を罵倒しながらも目に見えてホッとしていた。
きっと俺から『美味しい』って言われるのを、ずっとドキドキしながら待ってたんだろう。
いや〜、可愛い。うん、可愛い。どうだ!こいつ、俺の彼女なんだぜ!?
薄々わかってはいたけど、こいつから厨二病を取ったら至って普通の乙女になるんだな…。


「ところで、このくらいの量で足りるかしら?今まで父以外の男性には作ったことがなかったものだから……」
「ああ、全然大丈夫だぜ。十分十分。」

むしろ少し多いくらいだ、と思ったが言わなかった。まあ食いきれない量じゃないし。
おそらく、量が足りなくて俺が空腹にならないように多目に入れてくれたんだろう。こういうところからも黒猫が持つ細やかな配慮が感じられた。
――こいつは、きっと将来いい嫁さんになるだろうな。




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/717.08 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice