182:伊吹 ◆fJ3KTPFnIUC/[saga]
2012/05/03(木) 00:04:54.89 ID:wShZRXFAO
佐天「亜弥さんだって知りませんか? 強度が低いってだけで、虐められたりするんですよ」
亜弥「それ、は――」
脳裏に過ったのは、ある友人。
介旅『――――』
亜弥「――そう、だけど」
佐天「なら、強度が上がれば解決します。誰も損をしない――いや、という事は」
少し考え込む佐天。
暫時の後、手を叩いて閃いたような様子で言った。
佐天「幻想御手をばらまく事で得をする人って、誰なんでしょうね?」
亜弥「……んゆ」
考えてみても分からない。
そもそも配布者が分からないのだから、その思惑も分からなくて当然と言えばそうなのだが。
佐天「幻想御手かぁ……ちょっと興味あるなぁ」
亜弥「――ダメっ!!」
佐天「ひっ」
亜弥「――あ……ゴメン」
余りに無神経な言い様に、思わず罵声が口をついて出てしまった。
だが、怯えた顔を見て、その怒りも急速に冷える。
何となしに、思い至った。
亜弥「佐天ちゃんも……?」
佐天「…………」
無言は、肯定。
亜弥「…………っ」
歯が鳴る音が聞こえる程、亜弥は強く苦虫を噛み潰した。
彼女は薄々感じ始めている。
この街は、悪だ。
この街全てが、悪意に満ちている。
佐天「……多かれ少なかれ、低強度の学生は『そういう』経験がありますよ」
佐天「大丈夫です。大分慣れてますから」
泣きそうなその顔に、何と返していいか分からなくて――亜弥は初めて、自分の無知を悔いた。
結局、その日は別れるまで、何も言葉を返せなかった――
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