過去ログ - 男「また、あした」
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193: ◆CQNuph2.ro5A
2012/01/28(土) 21:03:13.74 ID:1bve/6vv0
唇と、唇が触れる。互いの息が漏れ、肌に触れる。
舌が唇を割って入り、絡めながら、互いの歯茎を丹念になぞっていく。
お互いの唾液が、舌を通して交換されていく。
――もう、何度も繰り返した行為だ。僕と彼女の、キスのハードルは思ったよりも低くなってしまった。
それが悪いことなのかどうかは、今の僕には判断しかねる。
僕、秋川秀一という、一人の人間の雄は、冬森雪花という一人の人間の雌を、明確に番として見ているからだ。
長期的に見れば、彼女とは案外、短い関係で終わるのかもしれない。全てに永遠はない。彼女との関係も、ふとしたきっかけで崩壊する。
今の僕らは針の先で、懸命に落ちないようにバランスを取っているに過ぎない。
だから――だからこそ、お互いを強く残そうと、するのだろうか。
それとも、動物的本能の最もたるもの、性欲に動かされているに過ぎないのだろうか。
……いや、もう、なんだっていい。彼女とのキスは、僕の理性を、紅茶に落とした砂糖のように溶かしてしまう。
考えるのは無粋だ。なんだっていい。彼女を、僕のものにする。
抱きしめる力が自然と強くなり、彼女は強く目を瞑る。彼女の背中を、背骨にそって軽く指先でなぞってやると、彼女は小さく震えた。
もう少し続けていたいという気持ちを必死に押し殺して、唇をそっと離す。
僕と彼女との間には、名残惜しそうに橋がかかり、少しもしないうちに落ちた。

「冬森さん。――ううん、雪花。君を、僕のものにしたい」
「は、はい。しゅういちの、すきにしてください」

彼女の、か細く、震えた同意の声に、僕は少しの罪悪感を覚えながらも頷いた。そして。
僕は彼女の胸のリボンをそっと外して――。


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