31:>>1[saga]
2011/03/29(火) 20:13:01.86 ID:NprJWFFv0
「あ! 秋川君、私、大変なことに気づきました」
「大変なこと?」
「このケーキを包んでもらった箱……一つなんです」
「それは見ればわかる……け、ど……」
「一つというのは、問題です」
「……問題だね」
安心した矢先、さらなる問題が発生してしまった。ケーキは二つ。箱は一つ。僕と冬森さんのおうちは勿論それぞれに一軒ずつ。
そして僕らは二人。箱が一つというのは、この調和を乱す大問題と言っていい。
どうやって僕らはこの美味しいチョコケーキを食べればいいんだろう? 勿論、どちらかがどちらかのお家にお邪魔するのは論外である。
というより、どっちが行なっても怒られてしまう。
でも、ケーキは食べたい。そしてこのケーキは最後の二つなので、店に戻って買うこともできない。
どちらかがケーキではなく、割を食わなければならない状況だが、そういうわことにするわけにもいかない。
加えて、ケーキは日持ちしないのが宿命なのだ。
「このチョコケーキ、美味しいんですよね」
「それも、高額商品だね」
「食べたい、ですよね」
「それはもう。甘いもの好きとしてはぜひとも食べたい」
「少し、恥ずかしい思いをするかもしれません」
「我慢するしかないかな」
僕と冬森さんはどうやら同じ考えを閃いたらしい。僕も冬森さんもケーキを食べることができて、少し恥ずかしい思いをするかもしれない危険性を孕んでいる方法。
しかしそれは一応の安全牌だ。背に腹は変えられない。
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