4:>>1[saga]
2011/03/28(月) 21:23:06.47 ID:gJVBoKdj0
かくして翌朝。キッパリ諦めると決めたつもりの僕だったが、どうしても未練があった。試す前に諦めていてどうするのだろうか。絵本は僕一人で書けるものでもない。それなのに僕ときたら冬森さんにそれを提案する前に諦めるんだなんて。そんなのは単なる逃避だ。僕が自分自身から目を逸らしているだけなのである……とまぁ、己を叱咤激励しても無理というものがある。そもそも僕は女の子に話しかけられない。口が動かないし硬直するし。それは同じ属性をもっている冬森さんにも適用される。ようするに持ちかけることすら難しい。やるにしても喋りだすのに10分以上は軽く経過してしまう。そんな自分が情けなくて心底いやになるけど、どうしてもしょうがない。これは性分なんだ。僕は、女の子が怖い。近づかれると、話しかけられると、泣いてしまいそうになるんだ。それというのも、過去のあまり思い出したくないあるコトが原因である。僕の女嫌いの原点といっていい。ひどいトラウマで、今でも思い出したらなんだか当時の自分に戻って泣き出してしまいそうになることだってある、それぐらい、幼く繊細な当時の僕にはショッキングな出来事がおきたのだ。
確か、まだ小学生低学年だったと思う。そのころは僕はまだ女の子が嫌いじゃなかったし、別になんとも思わなかった。そのころから絵が好きだったので、女の子への興味なんていうのはほぼ皆無だったのである。そんなある日に、事件がおきる。隣の席の女の子が僕の大事にしていた本を何かの拍子に破ったのである。彼女が謝ろうとしないので僕はひどく怒って、声を荒げて彼女を紛糾した。罵声も少しは浴びせたと思う。人のものを壊しておきながら素通りしようとしたんだ。僕は心の中に正義の炎を燃やしていたと思う。そしたら、少し強く言い過ぎたのか、それとも策略か。今となってはよくわからないが彼女が泣き出してしまったのだ。泣いたって僕の怒りは納まらない。とにかく謝ってもらおうとしていたと思う。それなのに、なんだかよくわからないけどクラス中を巻き込む問題にまで発展した。それで、なんだか、女の子を泣かした僕は悪としてみなされた。僕は僕が正義だと思っていたのに、だ。物を壊された被害者でもあるのに、だ。事の本質は無視して何故か泣かせた僕が大悪人に仕立てあげられ、あれよあれよの間に僕は何故か逆に謝らせられて有耶無耶になり、時がたつにつれその事件が針小棒大に膨らんでいって僕は濡れ衣も何着か着せられることになり暗黒の小学生時代をすごしたのだ。もう、女の子なんて大嫌いだった。中学に遡ればまだそのことを引きずって新たな濡れ衣も何着か着込んだと思う。女子グループによるイジメにも結構あったものだ。自称被害者の増加も留まるところを知らず、中学二年生の頃には、僕が名前も知らないような女の子を強姦したとかいう謂れの無い罪を着せられ、職員室で問いただされ無罪が判明するまで僕はもう死にたくなるほどの悪人扱いを受けたものだった。このころには女の子なんか死滅しろと本気で言っていたような気がする。我ながら悲惨な人生送っているなぁ。だからわざわざ偏差値高めのこの高校を選んだんだっけ。
そして、僕は泣きたくもない。そんなことがあったので昔からよくいじめられたものだったが、その時言われた言葉が今でも僕の心に深く突き刺さっている。「お前の泣いた顔、まるで女の子みたいだ」僕が泣いてしまって、そんな顔を見せたときにいじめていたグループの一人が面白がって発した言葉だ。でもそれは何より僕へのダメージへと繋がる。僕は僕が嫌いな女の子みたいな顔をしているとのことなのだ。普段から女顔、と言われてしまったら僕はもうどうなってしまうんだろう。そんなわけで、僕は涙なんか見せたくない。
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