25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[saga]
2011/03/29(火) 00:11:42.18 ID:D6BnVlAAo
― 富士山麓 洞穴上空 ―
吸血鬼「人間共は撤退したようですね」
メイド長「被害者が出てますからね。警察や軍が規制したのではないのでしょうか」
少女「タカイノコワイ」ガクブル
吸血鬼「魔王様、今しばらくのご辛抱を。急ぎますゆえ」
メイド長「あらあら、高いところは苦手ですか?」
少女「生身で飛ぶなんて初めてだもん……」
吸血鬼「夜も更けて参りました。今宵は満月。私の魔力が満ちる日です。飛ばしますよ」ヒュォッ
少女「きーゃーっ!!」コワイコワイコワイ
メイド長「魔王様、暴れないようにしてください」
吸血鬼「大丈夫ですよ。魔王様はお身体が小柄ですから」
少女「発達途中なんです!」プンスカ
吸血鬼「……何か私、嫌われてます?」
メイド長「さぁ……?」
少女「むー」
吸血鬼「宴の時は普通だったのに……」
少女「でも、本当に良かったんですか?」
吸血鬼「とおっしゃいますと?」
少女「帰りたいって言ったのは確かに私なんですけど、本当に帰っちゃっても良いのかなって」
吸血鬼「我々といたしましては魔王様が魔界を離れられるのは本意ではありません。ですが、現在の魔王様の状態を考えますとこれが最善ではありませんが、次善ではあると判断いたしました」
少女「……みなさんが期待してるような魔王じゃなくてごめんなさい」
メイド長「貴女様がお気にする事ではありませんわ。魔王様は魔族の中で最も尊いお方。貴女様の意思を我々は尊重いたします」
少女「でも、魔族は人間と戦おうとしてるんですよね?」
吸血鬼「はい。我々にとって人間は忌むべき存在。対極の生物と言っても過言ではないでしょう」
少女「どうしてそうなっちゃったの?」
吸血鬼「どうして……我々の裡にそういう『感情』が秘められている、としか答えようがございません。遥かなる古から我々は人間共と戦って来ました」
少女「戦争なんて悲しいだけだよ?」
メイド長「……それは、そうかも知れませんね」
吸血鬼「……」
少女「魔族の人たちだってみんな良い人ばっかりだったよ。花守りさん、調理師長さん、巨烏賊さん、獣王さん、海王さん、竜王さん……吸血鬼さん、も」
吸血鬼「ありがとうございます」ニコッ
少女「人間だって良い人がたくさんいるよ? ニュースとかで事件はたくさん起こってるけど、悪い人ばかりじゃないんだよ?」
吸血鬼「魔族とて同じです。魔王様に謁見した者達は厳重な審査をパスした者、所謂エリートでございますから。下層の者は野蛮です」
少女「……」
メイド長「人間と魔族は相容れない者同士。どちらか一方が滅びない限りは戦い続ける宿命なのです」
少女「そんなのヤだなぁ……」
吸血鬼「魔王様はお優しいですからね。しかし、いつかは決断の日が来ます。それまでは平穏な日を謳歌するのも悪くはないでしょう」
少女「……」
メイド長「……」
吸血鬼「我々魔族は魔王様の命あるまで人間界にはこちらからは手は出しません。それはお約束いたします」
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