30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/04/02(土) 20:36:41.76 ID:rVhEFPKqo
魔術の火炎に襲われて少し後の事だ。
場所は館に入ってすぐ、玄関ホール(というほど広いわけでもないが)である。
玄関の扉を背中にして正面両脇から二つの階段が二階へと続き、それにはさまれるように一階の廊下が奥に伸びている。
「中はどうなってた?」
「こんな山深くにある以外は何の変哲もないただの屋敷……でも誰もいない。その子以外は」
簡単に報告して、ウィリアムは相棒の隣に立った。見下ろす。
最初に目に入ったのは、長く伸びた栗色の髪だった。それは、彼と相棒が持つランタンの頼りない光を優しく反射して、淡く輝くようにも見えた。
そしてその下にひどく怯えて震える瞳。いかにも弱弱しく、彼はかつて飼っていた子犬を思い出した。
かんばせは薄暗がりでもすっきりと整って見える。
年は彼らより一つ二つ下といったところ。
だいぶ幼さを残しているものの、これから美しく開花していくのが容易に想像できる顔立ち。
ただ、
(儚い……)
そう思ってしまう程に少女の持つ存在感は希薄だった。
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