33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/04/02(土) 20:40:50.04 ID:rVhEFPKqo
  
  近くの床を見渡すものの、あるはずのそれはない。 
  暗くて見えないのかと思い、ランタンを高く掲げるが、やはり見つけることは出来なかった。 
  相棒が少女から目を離さないまま頷く。 
  
 「ああ、それなんだがな、ないぞ」 
 「え?」 
  
  それはあり得ない話だった。 
  今この世に存在する唯一の魔術は、その正式名称を血陣魔術という。 
  血液で構成陣(魔術式ともいう)と呼ばれるものを描き、完成によってその効力を発揮するのである。 
  構成陣は通常円環状であり、中にいくつもの幾何学的な模様を有する。 
  複雑、そして巨大であればある程導き出される力はより大きく、より強力になるというのが通説だ。 
  
  つまり、構成陣がなければ魔術は働かない。 
  それは魔術発動の要だからだ。 
  
 「それが……ない?」 
 「見るか?」 
 「え?」 
  
  相棒はこちらの返事も聞かず、少女に顎をしゃくって見せた。 
  少女はびくりと身体を震わせる。 
  
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