42:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/04/02(土) 21:15:21.69 ID:rVhEFPKqo
「……恐れながら申し上げます。それは軽挙にすぎるかと」
「……」
「もし彼に深刻な害があれば、卿が黙ってはおりますまい。
それに時間もかけていられません。彼は奴らとの戦いのための大事な戦力です」
「……」
「騎士団長」
「果たして――」
やはり書類から目は離さなかったが、彼の視線がある一点で止まった。
記入した者の几帳面さがうかがえる整った字。
一人の男の名がそこにある。
「成し遂げるのは本当にアローなのか」
「は?」
「あるいはオウルかもしれんな」
「……あの下級武官の息子が?」
副官の眉間が訝しげに寄る。
「有り得ません、あれは怯懦の極みです」
長は答えなかった。
ただ、凝視する。
力を持ちながらも仕えるべき国を持たないその男の名を。
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