過去ログ - まどか「もう大丈夫だよっ」まどか「あなたは……!」
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[saga]
2012/03/22(木) 16:56:19.55 ID:bG+ciPA7o
ふぅ
というため息が恭介の耳を震わせた。
唇もほとんど動かさない、小さなため息が杏子から漏れたのだった。
緊張が解けて、疲れたような優しい表情になっていた。
杏子「あんたのこと、誤解してた。けどたまにはさ、あんたの方からさやかに話しかけてやりなよ」
腕組みを解きながら、
杏子「まぁ、知らなかったことは仕方がないけどさ。
でも、知ったあとでどう動くかは、よく考えたほうがいい」
槍を肩に担ぎ、恭介に背を向ける。
杏子「その左手、もう動くんでしょ? この障壁は残しといてやるから、ここでおとなしく待ってなよ」
振り返ると、もう恭介への敵意はなかった。
杏子「……すぐに、済むから」
恭介「あ、あれを倒してくれる……の?」
杏子「勘違いすんじゃないよ。あんたのためじゃない、さやかのためなんだからな」
責めるでもない、覇気のない声だった。
その声を最後に、杏子はするりと障壁をすり抜け、飛び立った。
恭介「き、気をつけて!……」
返事はなかった。置いて行かれた障壁だけが彼の前に立ち、彼を敵の攻撃から守っていた。
毎日のように見舞いにやってきてくれたさやかの笑顔が、鮮明に蘇ってきた。
恭介は、さやかに感謝していた。恭介は、幸せな気持ちを噛みしめていた。
恭介「…………っ?」
しかし、ふと疑問が過ぎった。
さやかが消え、さっきの杏子のセリフが聞こえる。
恭介はいまさらになってその意味を思い、思わず口に出していた。
恭介「……魂を抜かれて、石ころに変えられちまう?」
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