過去ログ - まどか「もう大丈夫だよっ」まどか「あなたは……!」
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903:[saga]
2012/03/31(土) 14:31:19.11 ID:qtk7+BAFo

まどかが何かを叫んでいた。
しかし、燃え盛る炎にかき消されて聞こえてこない。
かなり近くまで迫って、ようやくほむらは聞き取ることが出来た。

魔まどか「――――まだだよ!」

赤い靴がパカンッ、と黒い地面を打つ。
ほむらの正面でくるりと魔女に向き直り、腕を振るって水平に伸ばす。
すると、まどかがここまで走ってきた足跡に沿うように、光点が燈りまばゆく輝いた。

ほむら「これは……?」

彼女の後頭部に向かって漏れた呟きに、答えはない。
まどかは膝立ちになり、祈るように両の手を合わせていた。
すると、光点が増殖していく。最初の位置から等間隔を置き次々に、地面を埋め尽くしていく。

いつの間にか、場は静けさを取り戻していた。
ほむらがハッとすると、あれだけ燃え盛っていた炎がもう消えつつある。
爆炎の中から無数の手が伸び上がり、炎を再び飲みこんでいるのだった。影が元に戻っていく。

ほむら「こいつ……」

二回殺せば終わるはずじゃなかったのか。
そう思って、すぐに打ち消す。そうだ、もう、これは別の魔女なのだ。
ひょっとしたら無限に復活することすらあるかもしれない。影が完全に形を取り戻す。
と、同時に無数の手が弾丸のような速度で襲いかかってきた。

ほむら「――ッ!」

魔まどか「動かないで!」

ほむらの時間停止に先んじて、まどかが叫ぶ。
叫びながら、後ろ手に、無造作に、ほむらの右手をつかみ取っていた。
ぱんっ、という乾いた木を鳴らすような音が響いて、まどかの熱くなった指とほむらの冷え切った指が絡む。
まどかは振り返らずに、ただぎゅっと握りこんできた。ほむらは、すごくやわらかいなと思った。

正直、陶然としていた。数秒間、ほむらは何も考えられなくなっていた。
まどかにとっては言葉の通り、ほむらに下手な動きをさせないためだったので、都合がよかった。

二人を囲む小さな円内を除いて、全ての光点から矢が打ち上げられる。
襲い来る魔女の手と、打ちあがる光の矢が、その物量を競い合うようにぶつかった。
燃やし燃やされ、打ち砕き打ち砕かれして、凄絶にせめぎ合っていく。


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