過去ログ - まどか「もう大丈夫だよっ」まどか「あなたは……!」
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929:[saga]
2012/04/04(水) 14:38:18.20 ID:+IlzdyW5o

顔を上げたまどかは、涙の跡もきれいになっていた。にへらと笑って、場違いにおどけてみせた。
その背後に静止している巨大な魔女の拳があった。なんとなく、まどかの時間停止も残り短いのではないかと思った。
私が使う時間停止の効果時間の、10倍は時間が過ぎていた。しかしまどかは苦もなくそれを維持していた。

魔まどか「私は、意地悪してるわけじゃなくて、あなたに自分で気付いてほしいだけなんだよ」

魔まどか「こんな私にも、まだひとつだけ、願い事が残っているの。あなたへの願い事だよ?」

魔まどか「それが何か、答えてほしいな。――ほむらちゃん?」

まどかの頬を伝う雫が、またしても、つぅっと流れて、上唇のふくらみに乗って、しみ込んで消える。
久しぶりに見た笑顔は、絶望の果てにある希望を見つけた笑顔だった。すべてを諦めるという希望の笑顔だった。

ほむら「……だから私が、たったひとり、なのね?」

魔まどか「……ヒントは無しだよー?」

なんだかまどかは楽しそうだ。私もなんだか楽しくなってきた。
もういつ途切れるか分からない時間停止。途切れれば二人もろともに潰されてしまうだろう。
だというのに、死の目前で、戯れの問答などしているのは、なんだか無性に楽しかった。

魔まどか「……まだ?」

ほむら「……あぁ、なんだか、もうすぐ、分かりそうな気がするわ」

魔まどか「……早くしてね?」


私は、あの自宅玄関ホールでの大喧嘩を思い出していた。
あのとき、私は帰りが遅いから、思い切り怒られたのだと思い込んでいたけど。彼女は、正確には何と言っていたか。

――ウソだよね! 最期まで一緒にいてあげる、なんてさ!!


さらに、遡って……。
私はまた、お菓子の魔女を撃破して巴マミを救った帰り道でのことをも、思い出していた。
まだ一月も経っていないはずなのに、遠い過去のようだ。あのときも、私たちは二人きりだった。

あのとき、私はまどかに聞いた。あなたは自分の最期を受け入れられるか、と。
あのとき、まどかは私に答えた。ほむらちゃんが、そう、私が――そうか――!

――ほむらちゃんがいてくれれば、もう何も怖くない。


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