過去ログ - 明るい魔まマ 魔法少女まどか☆マギカ 〜私の大切な人〜
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ちり紙
◆B/tbuP0Myc
[sage]
2011/04/03(日) 01:27:21.28 ID:8GUEOo26o
グオォォォォォォォォォォォォォォォン!!
突然、芳文を喰った魔女が苦しそうな顔をして、ぺっと何かを吐き出す。
「ってぇー!! や、やばかった……」
地面に背中から叩きつけられ、芳文は痛みに顔をしかめながら立ち上がる。
「社君!?」
「先輩!?」
「よ、良かった……」
芳文を吐き出した魔女は、口の中を血だらけにして、空中を大口を開けたままのた打ち回る。魔女の口内は、芳文によって剣で滅茶苦茶に切り裂かれ、突かれ、青い舌には深々と剣が突き立てられていた。
「巴さん!! あいつの口の中をもう一度狙うんだ!! さっきあいつは最初の奴の口の中から出てきた!! 口の中からケツの先まで貫いてやれ!!」
「わかったわ!! ……ティロ・フィナーレ!!」
マミが顕現させた巨大マスケット銃から放たれた凶暴な閃光が、魔女の口内から体の先端まで内部を焼き尽くしながら、もう一つの椅子の上に乗っている人形ごと貫いた。
ティロ・フィナーレによる内部からの破壊に、魔女が跡形もなく爆散する。
シュゥゥゥゥゥン……。
結界が消え去り、周囲の風景が病院の敷地内へと戻る。
「社君!! 大丈夫!?」
変身を解いたマミとさやか達が慌てて駆け寄る。
「あ、ああ、大丈夫だよ。ちょっとばかりやばかったけどね……」
「無事で良かった……」
「ん? 心配してくれるのかい?」
芳文の軽口にマミは目に涙を浮かべて叫ぶ。
「当たり前でしょ!!」
「……そっか。うん。ありがとう」
「お礼を言うのはこっちよ。あなたがいてくれなかったら今頃私……」
あの魔女に噛み砕かれて、そして……。
今になって背筋が凍る。がたがたと震えが止まらない。
「……少しは役に立てたかな?」
「ありがとう……社君」
マミは心からの礼を言う。
「それにしても、先輩よく助かったよね。それにあのでかい魔女が、最初のぬいぐるみの魔女から出てきたのにもすぐ気付いたし」
さやかの問いかけに、芳文はああ、と言って答える。
「俺、視力良いんだよ。あの魔女の口からなんか出てくるのが見えたから、慌てて巴さんの方へ走ったんだ。喰われなかったのは単に運が良かったんだと思う」
「あいつの片目を潰してやったから、遠近感が狂ったんだろうな。もし地面ごと喰われなかったら、今頃俺はミンチだよ」
「丁度魔女の舌の上に飲み込まれたから、巴さんに作ってもらった剣で、滅茶苦茶に斬って突き刺してやったら、吐き出された。ただそれだけだよ」
芳文のミンチという言葉にマミ達は震え上がる。本当に自分達は恐ろしい、危険な目にあっていたのだと……。
「……さてと、巴さん。ちょっと相談があるんだけど」
「……何?」
「あのさ、巴さんとの約束だけど……破ってもいいかな?」
「え?」
「やっぱり無理だ。一度知ってしまったのを見て見ぬふりなんて出来ない。だって俺は……」
芳文はそこで一旦止めて、マミ達の顔を見回して口を開く。
「――バカだから」
「バカだから、女の子だけを戦わせて見て見ぬふりなんて、出来ない。だから、俺も一緒に戦う。俺に何が出来るかなんて判らないし、何も出来ないかもしれない。それでも……俺は、君達と一緒に戦いたい」
芳文の宣言。マミ達はその言葉に押し黙る。そして……。
「……本当に……いいの?」
おずおずとマミが尋ねる。
「うん」
「今回みたいな事がこれからもあるのよ?」
「大丈夫。みんなで力を合わせれば乗り越えられる。それに、正義は勝つって言うだろ?」
そう言ってウインクをして見せる。
「……馬鹿ね」
「ホント、先輩ってバカだよね」
「おいおい……。まあ、バカなのは否定しないけどさ」
マミとさやかの言葉にそう返すと、マミとさやかは笑顔を見せる。
「とりあえず、これからよろしくでいいかな?」
芳文がそう言って手を差し出すと、マミは少し戸惑いつつ、両手で芳文の手を取る。
「……ありがとう」
「よっしゃー、仲間が増えたよ!! やったねマミさん!!」
「ええ!!」
さやかの言葉に、マミは飛び切りの笑顔で頷いた。
マミにとって、今日という日は最高の1日だった。
キュゥべえはさやかの足元で、マミが死を覚悟した時に解けたマミの魔法から逃れたほむらは遠く離れた場所から、それぞれ無表情のまま3人を見つめる。
魔法の使者と黒の魔法少女が何を思っているのか――それは、当人達にしかわからない。
「……」
まどかはひとり、笑顔のマミ達から離れた場所で、じっとマミ達を見つめる。
「――マミさんもさやかちゃんも先輩も、怖くないのかな……」
マミと共に魔法少女になると約束した。もしも何かあっても強くてかっこいいマミが守ってくれる。マミと二人でならきっと頑張れる。
――そう、思った。
しかし、現実は厳しかった。無敵のヒロインだと思い込んでいたあのマミですら、もしかしたら死んでいたかもしれないほどに熾烈だった。
「私、怖いよ……。あんなのと、これからずっと戦い続けるなんて無理……」
マミとさやかは仲間が増えた事を喜んでいる。
だが、まどかはただ、怯えて震えるだけだった。
――魔女への恐怖に怯える少女はまだ、己の過酷な運命を知らない。
「怖いよ……嫌だよぅ……」
つづく
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