過去ログ - 明るい魔まマ 魔法少女まどか☆マギカ 〜私の大切な人〜
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ちり紙
◆B/tbuP0Myc
[sage]
2011/04/03(日) 01:41:50.53 ID:8GUEOo26o
「近寄るな、汚らわしい、お前なんて産まなきゃよかった、だってさ。当然親父が怒って母親とは大喧嘩。母親はいなくなった。母親がいないのを不憫に思ったんだろうな。その後親父が新しい母親と再婚したんだ」
「新しい母親には娘がいてさ、俺と妹……実の娘を分け隔てなく実の子として可愛がってくれた。その後親父が病気で死んだ後も、お袋は俺を引き取って育ててくれたんだ」
「その後、死んだ親父の親友だった今の親父とお袋が再婚して、俺は社芳文になった。親父もお袋も妹も血の繋がりはないけれど、三人共俺を家族として扱ってくれた。妹とはケンカばかりだったけど、幸せだったよ」
「社の実家のじいさんが剣術の道場やっててさ、そこで家族で暮らしてたんだけど、ある日、じいさんに破門された弟子が道場と家に放火したんだ」
「じいさんと母親はそいつに刺殺されて、妹は燃えて崩れる家の下敷きになって……。泣きながら叫ぶんだよ。助けてって。それなのに、俺は助けようとしなかったんだ」
「燃え盛る炎の中で熱い、痛いって泣き叫ぶ妹を見殺しにして逃げたんだよ。もう助けられないからって勝手に諦めてさ。出張中だった親父が戻ってきた時には生きてるのは俺だけだった……」
「……今でも夢に見るんだ。あの時、どうして逃げたりしたんだろうって。あそこで死ぬべきだったのは俺だったのにって。妹が生きてれば君と同じ年齢だったのに」
「生きてさえいれば、いつか人生を共にするパートナーと巡り合って、子供を産んで、幸せになれるはずだったのに」
「結局の所、俺が誰かを助けたいって思うのは只の自己満足なんだ。見殺しにした妹の姿を勝手に他の誰かに重ねて、守ろうとしてるだけなんだよ。だから、俺は優しくなんかない」
「勝手に傷ついて勝手に死んでいけばいい。誰にも必要とされない、いらない人間だから。助けを求めてる妹を見殺しにして逃げるような最低の人間だから」
「だから、傷つくのは俺だけでいい」
「……」
「……つまらない話をしてしまったね……ごめん。ちょっと異常な状況が続いてたせいでどうかしてた。こんな時だからこそ、俺がしっかりしないといけないのに。我ながら本当に情けないよな……」
今まで抱え込んでいた実の母親と自分自身への黒い感情を、異常な状況下で気が滅入っていたとはいえ、知り合って間もない女の子に全部ぶちまけてしまった事を後悔しながら、芳文はまどかに謝った。
「……っ」
「……どうして、君が泣くの?」
「だって、先輩が悲しい事言うから……。いらない人間だからとか、そんな悲しい事、言わないでください……」
「……」
「先輩が怪我をしたり、死んだりしたら、先輩のお父さんやお友達だって、悲しむのに……」
「……俺はもう、親父の重荷でしかないし、ダチも只の腐れ縁で付き合ってくれてるだけだから。俺がいなくなっても誰も悲しんだりしないよ」
(……何を言ってるんだ俺は。この子にこんな事を言ってもしょうがないのに。俺は本当に最悪のクズだ……)
「そんなのってないよ……。そんなの、絶対おかしいよ……」
まどかは泣きながら芳文の顔を見つめて言う。
「私、そんな事考えてる先輩に守ってもらっても嬉しくない……。それでもし先輩が死んじゃったりしたら……」
「……」
ズズズズズズン……。
まどかの言葉を遮るかのように、突然地響きが鳴り響く。
「……何だ!?」
ズガアァァァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!
斜面を突き破って、巨大な黒い球根のような姿をした魔女が、芳文とまどかの目の前とその巨体を現す。
「魔女か!! くそ!!」
ヒュンッ!!
球根の形をした魔女の上面と下部から黒い触手が何十本も伸びて、その内の一本がまどか目掛けて飛んでくる。
「っ!!」
ドスッ!!
先端が鋭利に尖った触手が、咄嗟にまどかの前に立ちふさがった芳文の右肩を貫く。芳文の肩を貫いた血まみれの触手の先端がまるで蕾から花が咲くように開き、中からギロリと目玉が現れまどかの顔を見つめる。
「ひぃっ!!」
血まみれの触手から覗く目玉に見つめられ、あまりの恐怖にまどかはへなへなと腰を抜かして座り込んでしまう。
ズルッ!! 芳文の右肩から触手が引き抜かれると、別の触手が飛んでくる。
ヒュンッ!! ヒュンッ!! ヒュンッ!! バスッ!! バスッ!! バスッ!!
「くっ!!」
芳文は腰が抜けて立てないまどかを庇って、左下腕、右の太もも、左わき腹を突き刺される。今度はどの部位も貫通しなかった。
「ぐ……」
ヒュンッ!! ヒュンッ!! ヒュンッ!! バスッ!! バスッ!! バスッ!!
「くそ……っ!! こいつ、遊んでやがる……っ!!」
その気になれば、心臓を一突きにして芳文をすぐ殺せるのに、この魔女はまるでまどかを怯えさせる為に、芳文を嬲り殺しにしようとしてるようだった。
ヒュンッ!! ヒュンッ!! ヒュンッ!! バスッ!! バスッ!! バスッ!! ヒュンッ!! ヒュンッ!! ヒュンッ!! バスッ!! バスッ!! バスッ!!
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