過去ログ - 黒猫「まったく、とんだクソゲーだわ」
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60: ◆49H2QUBi7VEi[sage]
2011/04/29(金) 23:00:28.33 ID:ZEfyVaGMo
「安心してください……というのも変な話ですけど、桐野から聞いたわけじゃありません」
「だったら……」
「……おかしいんですよ、二人とも……桐乃も、お兄さんも。
 桐乃はあんまりお兄さんの話をしなくなりましたし、お兄さんは私にセクハラしなくなりました」
「…………普通であれば、好意的に見るべきところね」
「そうですね……二人があんなに思いつめた表情をしてなければそう思って終わりだったかもしれません」
「はぁ……あの兄妹は、本当に……」

分かりやす過ぎるポーカーフェイスやツンデレは考え物だ。
関係がない人物であれば見ていてほほえましいで済むが、今回はそうも行かない。
本人たちはそれで隠せていると思っているのが、なおさらタチが悪い。

「……人のことは言えないかしらね」
「はい?」
「いえ、なんでもないわ。それで京介……先輩のことだけれど」
「はい。恋人同士……なんですよね?」
「……恋人だったわ、3月上旬までね」
「…………やっぱり」

彼女の言い方からすると、やはりその時期にあの兄妹の間に何かあったようだ。
それがなんなのか分からないから、こうして二人で話をすり合わせながら予測してるだけにすぎないけれど。
「まあ、そのあたりの私が知っている話は、大学に合格したその日に突然別れ話を切り出された。
 理由を要約すると、恋人よりも妹の方が大事でそばにいたい子だったから。
 その後はあの兄妹のどちらともあってないから、何も知らないわね」
「そう……ですか」
「いきなりあの女から連絡があったと思えば、”読者モデルのヘルプに入ってくれ”だもの。何がなんだか分からないわ」
「でも……それが……本題じゃないんでしょう?」

なかなか鋭い娘だ。
本当にあの女を、桐乃のことを知っていないと言えないことをさらっと言ってのけた。
ただ、その顔がひどく寂しそうなのが少し気になるけれど。

「ええ、それはオマケらしいわ。本当に話したいことは別にあるらしいのだけれど……まだなにも言ってこないわね」
「…………五更さんは……桐乃の……”あの二人”の味方ですか?」

気になる疑問をすぐに解決してくれるとは、なかなか気の利いた娘だ。
この娘とのエピソ−ドを、以前先輩から聞いたことがある。
そんなことがあった手前、諸手を挙げてあの二人を応援することはできない。
正面から桐乃の悩みを聞くことも難しい。
そして先輩に桐乃のことを任すことも、問題の本質を考えればできない。
だからこうして私という苦手で、嫌っているであろう人間と1対1で話している。
結局この娘は、新垣あやせという娘は、

”あの兄妹の味方”でいたいのだ。


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