過去ログ - 男「顔が消えた……」
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1:平凡化
2011/04/05(火) 17:02:55.49 ID:u8ovdTw/0
男「なんでだ……?」

男「目もない。鼻も無い。口唇も……」

必死に顔をまさぐるが本来ある筈の感触はなかった。

そこにあるのは顔の形をしたモノだけ。

母「あんた、いつまでそこに突っ立ってるんだい?早くどけな」

男「か、母さん……俺……俺、顔が……!」

母「はあ?寝ぼけた事言ってないでさっさと、朝ごはん食べなさい」

男「……え?」


2:平凡化
2011/04/05(火) 17:04:32.88 ID:u8ovdTw/0
妹「あ、おはよ、兄ちゃん……って、そんなうなだれてどうしたの?」

男「え、いや……い、妹?」

妹「ん?」
以下略



3:平凡化
2011/04/05(火) 17:05:02.43 ID:u8ovdTw/0
男「まあ、口自体が残っていただけでも助かった」

妹「……?」

目玉焼きを口に運ぶ。
以下略



4:平凡化
2011/04/05(火) 17:06:22.12 ID:u8ovdTw/0
部屋に戻って、愛用のお菓子を食した。

男「っ……!」

どうやら、問題があるのは自分の味覚らしい。
以下略



5:平凡化
2011/04/05(火) 17:07:37.49 ID:u8ovdTw/0
いくつか分かった事がある。

ひとつは、俺の過去の写真だとか、そういった類のもの。

その全てから俺の顔だけが消えていた。
以下略



6:平凡化[sage]
2011/04/05(火) 17:08:39.03 ID:u8ovdTw/0
用を足して、身なりを整えると俺は職場へ向かった。

俺が勤めるのは絵のデザインを主とする企業だ。

少ない人数でやり繰りしているが、そこそこの評価を得ている会社でもある。
以下略



7:平凡化[sage]
2011/04/05(火) 17:09:32.14 ID:u8ovdTw/0
通勤には電車を利用しているが、乗り込んだ車両には人っ子一人もいなかった。

ラッシュの時間帯でないとは言え、それは非常に異様であった。

だが、耳を澄ませば、話し声が聞こえてくる。
以下略



8:平凡化[sage]
2011/04/05(火) 17:09:58.72 ID:u8ovdTw/0
何を思ったのか、俺はその声がした方へと近づいた。

だのに、声を発すると思われるものは何一つ見当たらない。

幻聴だろうか。
以下略



9:平凡化[sage]
2011/04/05(火) 17:11:23.04 ID:u8ovdTw/0
?「あなた!謝ったらどう!?どうしてそんな風で居られるのかしら!」

?「本当、謝ったらどう」

そう言われても周りには誰もいないんだ。
以下略



10:平凡化[sage]
2011/04/05(火) 17:12:26.90 ID:u8ovdTw/0
そこで俺は至極妙な質問をした。

男「つり革……さん?」

?「そうよ!つり革よ!なんて間抜けなの!?今の今まで気付かないなんて」
以下略



11:平凡化[sage]
2011/04/05(火) 17:13:06.20 ID:u8ovdTw/0
A「ねえ、あなた!いつまでぼけっとしてるの!?謝りなさいよ!警察を呼ぶわよ!?」

B「本当。警察を呼ぶわよ」

果たして、つり革に警察が呼べるのであろうか。
以下略



12:平凡化[sage]
2011/04/05(火) 17:13:55.45 ID:u8ovdTw/0
その後も、土下座をしろ、金を寄こせなどと言ってきたが無視を決め込んだ。

C「同じつり革として、恥ずかしいわ」

Cは心底申し訳なさそうに呟いた。
以下略



13:平凡化[sage]
2011/04/05(火) 17:15:22.90 ID:u8ovdTw/0
C「わたしはつり革よ。そして彼女達も同じつり革」

男「そんな事あるはずが無いだろう。つり革がしゃべるなんて聞いたことが無い」

C「でも、残念ながらこれは現実なの」
以下略



14:平凡化[sage]
2011/04/05(火) 17:16:33.26 ID:u8ovdTw/0
C「だけど……」

Cはその続きを言いよどめた。

何かに迷うように。
以下略



15:平凡化[sage]
2011/04/05(火) 17:17:33.35 ID:u8ovdTw/0
話が噛み合わない。

所詮、CもAのように侵されたものなのだろう。

ちょうど、電車が駅に着いた。
以下略



16:平凡化[sage]
2011/04/05(火) 17:18:10.90 ID:u8ovdTw/0
K「やあ、少し疲れた顔をしているね。どうしたんだい」

職場に入ると友人のKに声を掛けられる。

男「なあ、俺の顔におかしい所はないか?」
以下略



17:平凡化[sage]
2011/04/05(火) 17:18:38.34 ID:u8ovdTw/0
机に腰を下ろし、過去に製作した絵や画像を確認する。

特に今回の事に関係ありそうなものは見つからない。

のっぺらぼうを描いた覚えもないし、もちろん僕にとってつり革なんて専門外だった。
以下略



18:平凡化[sage]
2011/04/05(火) 17:19:11.36 ID:u8ovdTw/0
今日は顔の事で何かを言われることが多い気がする。

そこまで悪いのか?

というか、どこにそれを判断する顔がある?
以下略



19:平凡化[sage]
2011/04/05(火) 17:19:45.16 ID:u8ovdTw/0
K「おい。ちょっとひどいじゃないか」

Yさんとの会話を聞いていたのかKがなにやら言ってくる。

K「Yさん、きっと君に好意を抱いているよ」
以下略



20:平凡化[sage]
2011/04/05(火) 17:20:27.29 ID:u8ovdTw/0
K「君も酷い男だね」

男「……ちょっと嗅いでくる」

K「いやいや!それはまずいだろう!?」
以下略



21:平凡化[sage]
2011/04/05(火) 17:21:05.01 ID:u8ovdTw/0
今日の帰りにちょっと居酒屋へ寄らないかとKに誘われたが断った。

電車には乗りたくなかったので、タクシーを捕まえる事にした。

運「どこまで行きます?」
以下略



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