過去ログ - 姫神「ごめんね。上条君」
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15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]
2011/04/06(水) 00:03:16.69 ID:BgWwLXazo

後ろから突然声を掛けられ驚いて振り向くと、そこには吹寄さんがなんだか心配そうな顔をして立っていた。
考えごとに集中しすぎて吹寄さんの気配に全く気がつかなかった。
ちなみに今の私の状況は教室の隅のほうであらぬ方向を向いて直立している状態だ。
他の人から見たらさぞおかしな光景に映るだろう。
だから吹寄さんは心配そうな顔をしていたのか。
ふむ。いらぬ心配を掛けさせてしまったな。謝らないと。
あ、そうだ。まだこれが彼の物であるとは決まっていないし、謝った後に私の直感が正しいかどうか彼女に相談してみよう。
これを彼に届けるのはそれからでも遅くはないだろう。
私はそう考えて吹寄さんの質問に答えた。

「何でもないよ。大丈夫」

自分の口から出た言葉に自分でビックリする。
私は何を言っているの?
私は謝る筈ではなかったの? その後にこの鍵のことを相談する筈ではなかったの? 
頭の中が疑問符でいっぱいになってゴチャゴチャになる。

その上気がつくと私は手を後ろにまわして、手に握っている鍵が吹寄さんには見えないように隠していた。
これでは私がこの鍵のことを誤魔化しているみたいではないか。
私はどうしてこんなことをしているの?

自分の行動に混乱しきって二の句が継げなかったけど、吹寄さんは今の一言で納得してくれたのか、

「そう? 変な所をジッと見てたから何か非科学的なものでもいたのかと思ったわよ。」

と言ってロッカーの方へ歩いて行ってしまった。
そんな彼女を目だけで追う私の頭の中では今からでも遅くはない、早く吹寄さんに相談するんだと誰かが叫んでいた。
それなのに私の身体は棒立ちのままちっとも動いてくれず、結局始業の合図であるチャイムが鳴りそのまま休み時間は終わってしまった。




始業を伝えるチャイムが鳴り響くなか、一つの可能性に思い当たった。
もしかして私はこの鍵が欲しいのか?
“上条君”の部屋の鍵を開けることができる、この鍵が。


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