890: ◆YwuD4TmTPM[saga]
2012/03/31(土) 00:15:38.67 ID:PgBGyIvd0
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――それから、きっかり五分後。
閉じられていた屋上の扉が、先ほどよりも勢い弱く、よたよたと開いた。
「――ごめん!」
謝りながら入ってきた、線の細い、松葉杖をついた少年――上条恭介は、慣れない松葉杖を操りながら、扉の向こうへと歩みを進める。
「ごめんよさやか、ちょっと遅れてしまって。それで――」
話ってなんだい? と続けようとして。
「――あれ?」
ようやく、恭介は屋上に誰もいない事に気づいた。
ゆっくりと周囲を見回す。彼女の事だから、もしかしたら隠れてのドッキリくらいは警戒してもいいかもしれないが、その気配も何もない。
「さやか……?」
何やら、言い知れぬ不安を感じて。
恭介は、不安げに待ち人の名前を呼んだ。
だが、その言葉に答えられるものは、今はいない――。
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