過去ログ - レイラ「さようなら、真賀田博士」
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50:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[saga]
2011/04/09(土) 16:50:21.03 ID:bjkclqc70
そして、参加者が会場へ集合した。
食堂を兼ねるそのホールは、照明が変えられ、ステージをさりげなく強調するように陰影をつけられている。
ステージの上へ、長髪の女性が登場する。
両側からショートカットのスタッフに付き添われ、丈の長いドレスを翻して。
一切のハウリングなしにスピーカが起動し、低周波の駆動音が会場を満たす。
『お早うございます。こうして皆様へご挨拶をするのは初めてですね。
私の招きに快く応じてくださったこと――心より感謝申し上げます』
そして、優雅に一礼。細くやわらかな黒髪が流れ、集中したスポットライトと視線を乱反射する。
このころから、眼が比較的良く、かつステージへ注目していた何人かが違和感に気付きだす。
そしてその正体を見つける前に――異変が起きた。
『突然不躾な招待状を送りつけ、この船へご足労願った理由――それは――』
突然膝を折り、崩折れるように倒れ伏す女性。慌てた様子で後ろに控える二人が駆け寄る。
ざわめきが起こる。マイクにごぼ、という音が入り、突然に切れた。
背広の男がステージへ飛び上がる。制止するスタッフよりも頭一つ背が高く、棒人間のような印象を与える男はその場で膝を折り、男性スタッフ二人に拘束された。
金髪で長身の女性が、近くで呆然としていた小学生の女の子三人を抱きしめ、その視界をふさぐ。
それを見た、よく似た中学生ほどの娘は、妹たちの名を呼んで同じように胸に抱いた。
髪に紫の部分がある女性が、ひっ、と息を吸うような悲鳴を上げる。
その隣にいた眼鏡の男性は、よろめいた女性の肩を抱いて支えながらも、ステージへ鋭い視線を向ける。
ステージの前端から、黒々とした液体が、粘度の高い液特有の重力に逆らうかのような挙動で、流れだしてきていた。
そして、最早誰が見ても鮮やかなことに、
彼女の頭部は、黒ずんだ断面を晒す細く華奢な首と、ホルターネックの紐が解け、床に押し付けられた胸元や肩甲骨のラインが浮き出たなめらかな背中と、
完全に分かたれていた。
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