過去ログ - レイラ「さようなら、真賀田博士」
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53:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[saga]
2011/04/09(土) 17:19:31.76 ID:bjkclqc70

「わたしが剖検します」

レイラがそう言った時、ほとんどの大人が難色を示した。
招待客、そしてすなわち技術者は全部で八人と一匹。
工学博士『犀川創平』、大学院生『西之園萌絵』、科学者『沙羅』、
生物学者『御子神タモツ』、動物セラピスト『御子神ハルカ』、カメ『ドクトル』、
名探偵『夢水清志郎』、技術者『玖渚友』、医学博士・数学者『高城レイラ』

よりにもよって医学関連の技術者が小学生しかいないという状況に、参加者は戸惑う。
ちなみに医師免許は父の母国であるドイツで取得したが、あまりにも年齢が低すぎるためにレイラには国内での免許が下りていない。
そのかわりにと日本で受け直した医大のゼミが、『法医学教室』
完璧すぎるほどおあつらえ向きの、小学生の女の子。彼女にいかにして剖検をさせないか、が、彼らの目下の議題だった。
彼女の死に様は明らかに殺人であり、警察に連絡がつかない以上早めに解剖して状態をとっておきたい。

「船医とか、いるんじゃないかしら?」

萌絵が言うが、男性スタッフは首を振った。

「ウチの医療スタッフにできるのはせいぜいが薬を出すことと、そうですね、傷口を縫うくらいしか」

「十分じゃありません?」

「うん。いくら法医学の知識がないとはいえ、一級客船に常駐している船医だからね。技術はあるはずだよ。
 それに船舶の手術室は大学の解剖室よりもかなり特殊化されているというし。僕が助手を務めよう」

タモツが萌絵に同調して言う。微生物専門だが、生物学の教鞭を執る以上基本的な解剖学的知識は持ち合わせている、ということらしい。
レイラや犀川に言わせてみれば技能があれば年齢など関係ないのだが、自らも親である御子神ハルカが怒りだしそうな雰囲気だったので言わない。
情操教育上、殺人死体の解剖などさせたくないという意見にも十分賛同できる。

「では、案内します。既に博士は運び込まれていますので」

ハルカがドクトルに何事か語りかける。カメは答えず、パイプを揺らした。

「……その前に、博士を見せてもらえませんか」

「僕も。まだ彼女に黙祷を捧げていない」

「ああ、そうだね。あまりのことに忘れていた……」

教授と犀川が言い出したそれに、萌絵だけが少し眉を寄せた。



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