12:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:35:06.18 ID:nYXsbXrS0
<戦術作戦部>に対抗する組織として、<特殊監査部>がある。
<特殊監査部>の役割は機密情報保護のほかにもう一つ、
これはと目をつけた人物の個人情報を網羅的に収集し、それを様々な用途に活用することだった。
もともと個人情報の収集は、パイロットの強制召集を可能にするための一手段だった。
相手の居場所を突き止めるためには行動パターンを把握しなければならないし、追い詰められても
シラを切り通そうとする悪質な輩に言う事を聞かせる為には、弱点を知ることも必要だったからさ。
しかし蓄積する情報が増えるにつれて、情報の力、情報の魅力が組織を虜にしていった。
<特殊監査部>の情報収集が当初の目的を大きく逸脱して肥大し始めたのは、10年前からだという。
日本国内は言うに及ばず、北は北極から、南は南極まで、<特殊監査部>の情報網は至る所に
張り巡らされていた。
世界中のありとあらゆる破廉恥な個人情報を網羅している<特殊監査部>の人間を、人々は
恐れてたんだ。
だから、ヱヴァシリーズの大量生産によって莫大な収益を上げ続ける<技術開発部>に対抗できるのは、
唯一<特殊監査部>だけだった。
しかし、<特殊監査部>部長の正体が謎に包まれている以上、<技術開発部>部長が
<NERV>の実質的な首領と目されたのも無理はない。
当時の僕は<戦術作戦部>の下っ端パイロットだった。
下っ端の任務は、戦地に赴いて使途を倒すことだ。
とはいえ、僕がスマートに任務をこなす訳がない。
使徒相手に好んで煙に巻かれてみたり、使徒と意気投合して吸収されたりした。
身の入らないことこの上なかった。
僕がそれでも成果を上げたのは、アスカがいたからだった。
アスカはあらゆる技巧を駆使して、使途を殲滅した。
闇打ち、泣き落とし、情報操作、卑劣な罠、戦略自衛隊への賄賂、暴走なんでもやった。
当然、戦績は上がる。連鎖反応的に、相棒である僕の戦績まで上がった。
<戦術作戦部>の存在そのものに疑問を抱き始め、適当にやっていた僕には迷惑な話さ。
さらにアスカは根っからの情報収集好きであった為に、その不可思議な人脈を広げ続け、
冬月副司令の右腕と言うべき存在に成り上がった。
ぼくが<NERV>に加入した夏、冬月副司令が僕たち二人に昇進話を持ちかけて来た。
僕とアスカを幹部に引き上げようというんだ。
でもアスカは意外にもその申し出を断って、<技術開発部>へ引き抜かれて行った。
やむなく僕が主任パイロットとして幹部になったけれど、見事なまでにやる気はなく、
<戦術作戦部>の戦績は下がり続けた。
あっという間に名目だけの幹部に転落したのさ。
冬月副司令は僕を軽蔑し、路傍の石ころも同然に無視し始めたんだ。
○
<戦術作戦部>時代、妙な人物に出くわした。
9月のことだ。
僕は冬月副司令に呼び出され、戦績が芳しくない事についてネチネチと小言を言われた。
挙げ句の果てに、
「パイロットもろくにこなせない人間には、使い走りがお似合いではないかね?」
と酷い侮蔑の言葉を投げつけられた。
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