19:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:42:21.67 ID:nYXsbXrS0
「冗談じゃないですよ」
「でも、君の事は身を挺してかばうと言っていたよ」
○
僕がこの世界に閉じ込められてから50日が経過した。
信じられない。
外はもうとっくに年が明け、三学期も終わろうとしている。1200時間もの間、
僕は外食をしていない。日光を浴びていない。新鮮な空気を吸っていない。
人間と言葉を交わしていない。例の錬金術にも嫌気がさして、真面目に千円札を
集めなくなっていた。
なんという世界だ。
何という世界。
地表はどこまでも隙間なく敷き詰められた畳で、朝も昼もなく、風も吹かず雨も降らない。
世界を照らすのは貧相な蛍光灯の明かりのみだ。
ただ孤独だけを友として、僕はがむしゃらに世界の果てを目指して歩き続けた。
数え切れない壁を破り、数え切れない窓枠をよじ登り、数え切れないドアを開けた。
秋に組織から足を洗って一カ月。僕は自室に立てこもってきた。
自分は孤独に耐えうる人間だと思っていたんだ。
浅はかだった。
僕は孤独なんかじゃなかったんだ。
今の僕に比べれば、あの頃の僕はちっとも孤独じゃなかった。
僕は孤独に耐え得ない。何としてもここから出なければならない。
そうして僕はよろよろと立ち上がる。ふたたび自室横断の旅に出るんだ。
○
誰もいない。
誰とも言葉を交わしていない。
最後にアスカと言葉を交わしたのはいつだったろう?
希望を持って歩く事は、日に日に難しくなった。
もはや僕は独り言も言わなくなった。
歌も歌わない。
身体も拭かない。
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