過去ログ - アスカ「私なりの愛ってやつよ」
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29:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:49:56.77 ID:nYXsbXrS0
 芦ノ湖のほとりには、大勢の人がウロウロしている。
 二号機が暴走したのも相まって、相当の騒ぎになった。

 人混みの中に冬月副司令の姿を見たような気がして僕は怯えたけれど、
もはや怯える理由は何もない。
 群れに集まった人々は、河原に丸太のように転がされているアスカを取り囲んだ。

 加持師匠が悠然と表れて、
「アスカは逃げないから安心しろ。俺が責任を持つ」
と言い放った。

「師匠!かっこいい〜」
 アスカは喚いた。

 人混みから碇司令も現れた。

「救急車はレイが呼んだ。直に来る」
 と言った。

 加持師匠の傍らには葛城二佐もいて、呻くアスカを眺めていた。

「自業自得と言えば自業自得なんだけどねん」
 と彼女は言っていた。

 ほとりへ横になりながら、アスカは呻いた。

「痛い、痛い。とっても痛いわ。なんとかして」

 加持師匠がアスカの傍らに跪いた。

「失脚しちゃったわ」
 アスカが小さな声で言った。

「アスカ、君はなかなか見所があるな」
 師匠が言った。

「師匠、ありがとう」

「しかし骨まで折る事は無いだろう。君は救いがたい阿呆だな」
 アスカはしくしく泣いた。

 冬月副司令が土手を駆け上がって、救急隊員と一緒に降りて来た。
 救急隊員たちはプロの名に恥じない手際でアスカをくるくると毛布に包んで担架に乗せた。

 そのまま芦ノ湖に放りこんでくれれば愉快千万だったけれど、
 救急隊員は怪我をした人間には分け隔てなく哀憐の情を注いでくれる立派な方々だ。
 アスカは、彼女の悪行には見合わないほどうやうやしく救急車へ運び上げられた。

「アスカには私がついて行くわ」
 葛城二佐が言い、冬月副司令と一緒に救急車に乗り込んだ。

 ○

 僕が知らない所で何が起こっていたのか。
 アスカが芦ノ湖の欄干で追い詰められた経緯はとてつもなく入り組んでいるので、
事細かに説明しているとそれだけで一つのお話になってしまう。


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