4:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:26:53.69 ID:nYXsbXrS0
「そういうことか。まったく、どうやって育ったらそんな風になるんだよ」
「これも師匠の教育のたまものよ」
「何の師匠なのさ」
「一言ではとても言えないわねえ。深遠だから」
アスカは欠伸をして言った。
「もう、とっとと出て行ってくれよ。僕は忙しいんだ!」
「言われなくてもそうするわ。今夜は師匠のところで闇鍋ってのをするそうだから」
にやにや笑うアスカを廊下の外へ追い出して、ようやく心の平安を得た。
そうして、この街へ来た時のことを思い出した。
○
8ケ月前の4月、僕は中学2年生になったばかりだった。
先生のところに預けられていた僕に、単身赴任中の父さんから手紙があった。
手紙にはただ一言、「来い」とだけ書かれていた。
急な呼び出しの知らせを見て驚いたけれど、同時にうれしかった。
そして、
「父さんがが僕を待っているんだ」
という甘い幻想に惑わされ、新たな学校で友だち100人作るべく、その日のうちに
首都へ向かって旅立っていた僕は、手の施しようのない阿呆だった。
幻の至宝と言われる「バラ色のスクールライフ」への入り口が、今ここに無数に
開かれているように思われ、誘われるがまま、ふらふらと父の元へ向かった。
そこで出会ったのが、秘密機関<NERV>だった。
秘密機関と大々的にビラを書く秘密機関がある訳がないのだけれど、驚くことに、
本当に秘密機関であることが後になって分かった。
第三新東京市に降り立った僕に声をかけたのは、NERVの技術開発部・部長、赤木博士だった。
いかにも頭が切れそうで、涼しげな目をきらりと輝かせている。
物腰は柔らかいけれど、どことなく慇懃無礼な印象を受けた。
「色々な人たちと付き合えるでしょうから、面白い経験が出来るかもしれないわよ」
赤木博士は僕をケージに誘い込んでそう説得した。
僕は考えた。自分の世間が狭い事は確かだ。
大人になる前に、世界で活躍する様々な人間たちと交わって見聞を広めることは重要だよ。
そうして積み重ねた経験こそが、輝かしい未来への布石となるだろう。
もちろん、そういった真面目な事を考えただけではなくて、赤木博士の成熟した色香に、
なんとなく魅力を感じてしまったという事実は否めない。
繰り返すけれど、手の施しようのない阿呆だったんだ。
○
NERVとは何か。
公には、みんなで和気藹々と人類を守るという唾棄すべき体制が打ちたてられていた。
しかしその真の目的は謎に包まれている。
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